パルムフェンス キャンペーン

D&D3.5 オリジナルキャンペーン資料

第8話プロローグ02「Thunder Delve Mountain Retry (雷鳴山再び)」

―――雷鳴山(らいめいざん)。
万年雪に覆われた山肌の内部では、火山活動が活発で、雷鳴に似た轟音が地響きを伴って唸っている。
 
数世紀もの昔、はるか東方より、戦乱の故郷を逃れて海を渡ってきたゴールド・ドワーフの先祖たちは、この地脈に可能性を見出し、ついに潤沢な鉱産を掘り当てた。これを父神モラディンの啓示と受け取った彼らは、山をくり貫いて定住し、ドワーフ族特有の我慢強さと勤勉さで採掘技術を研鑽し、やがてその工業力はパルムフェンス中で称えられるほどとなる。
山溜穿石の尊き精神を称え、その国は「コンゴウ」と呼ばれた。
  f:id:dndviva:20191016065243p:plain

雷鳴山には猛々しい神の息吹きのような溶岩のほかに、染み込んだ雪がろ過して溜まった地底湖もあった。驚くべきことに、濃縮された山の精髄は確かな意思を持っていた。今では名を忘れられた水の精霊との対話により、なんらかの協約がなされたと言う。やがて精霊は沈黙し、代わりに国は清涼な水で溢れた。炎と水の加護を受け、コンゴウ国はいよいよ栄耀栄華を極めることになる。
 
『ハーヴェイオンの炉』が灼熱のマグマを制し、溶かされた鋼鉄は、清水によって彼らの望む形で留まった。伝説の武具の数々がここで生まれていった。
ある物は巨人の骨を砕き、ある物は竜の鱗を裂き、ある物は悪魔の心臓を穿ったと言う。
そしてそれを纏うのは、巌の精神を持ち、奥義を会得したサムライたちだ!!
 f:id:dndviva:20191016065306p:plain
天下無双で聞こえたモノノフたちは、いざ命が下るや不撓不屈の戦いぶりで主君の名誉を守った。
王国はまた修練の場でもあった。武士道を究めんと欲する者に広く門戸を開き、道場では多くの者が切磋琢磨する姿があった。免許皆伝の秘術は“継承者の石”に刻まれ、数世紀を経ても失われることはないと言う。
 
コンゴウ国の栄華は、何度も危機にあった。ドワーフたちが掘り出した黄金の山を求めた、オールド・ホワイト・ドラゴン“セルシュトリオン”の凍てつくブレスを浴びてなお、神秘の秘宝を手にせんと、エルダー・リッチ“デミ・ボーデンシャッツ”のアンデッド軍団の侵攻を受けてなお、叡智を奪わんと、フロスト・ジャイアントたちに蹂躙されてなお、誇り高き魂を零落させんと、九層地獄のデヴィルたちの汚染を受けてなお、雷鳴山の轟きの中に、かの千年王国はあった。
 f:id:dndviva:20191016065328p:plain
この難攻不落の王国は、しかして王の傲慢によって滅びたと言われている。
英雄として死んだ父ダロキンより雄たるを欲した若き王“黒兜”ロギムは、巨人戦争において、吟遊詩人の名歌の一つにあげられるほどの活躍をみせた。
 
しかしコンゴウ国の凋落を歌える詩人はいない。生き残ったゴールド・ドワーフたちも決して語ろうとしない。
暗灰色の遺跡の中、遠く聞こえる雷鳴山の轟きの中で、コンゴウ国は秘密を抱えたまま静かに眠っている。

f:id:dndviva:20191016065343p:plain

----------------------------------------------------------------------------------------------------
コンゴウ国の歴史>
数世紀前       ワコクよりミフネたちがヴェラダインへ到着。
雷鳴山を開山し移住。コンゴウ建国。
 
採掘の果てに地底湖発見。シャルサイダーとの会合。
ハーヴェイオンの炉を建造。
第一次ゴブリン戦争。
 
剣豪ライカ、白竜セルシュトリオンを討伐。
サムライ文化の開花。継承者の石を設置。
ヴェラダインとの交易開始。
 
第二次ゴブリン戦争、アンデッドの侵攻。
黒幕のエルダー・リッチ“デミ・ホーデンシャッツ”を退散させる。
 
オークの侵攻。
エルフとの友好関係を構築。
護国の宝剣ムネチカ鍛造。
 
グレイ・ドワーフのモリオン氏族との戦争。
276年前       ニムロン誕生。
 
巨人戦争。パルムフェンス全土を巻き込む大戦争に。
フロスト・ジャイアントの王ラメルガーとドワーフの王ダロキン、雲間峠の戦いにて相討ち。
沈黙を守るエルフに対し、新王“黒兜”ロギム国交断絶を宣言。
“サークレット・オブ・デヴィルズ・ソーン”製造。
百年前          巨人戦争終結
フィルスネイカーの襲撃。
 
37年前         グローナ誕生。
23年前         シュウ(23)、ニムロン達とコンゴウ国に挑戦するも失敗。