パルムフェンス キャンペーン

D&D3.5 オリジナルキャンペーン資料

ファンデルヴァーの失われた鉱山 第1話「ゴブリンの矢」

※本シナリオはDungeons&Dragons第5版 スターター・セット付属シナリオを、パルムフェンス地方でプレイできるように改編したものです。
■冒険の背景
500年以上も昔、ドワーフとノームの諸氏族は、”ファンデルヴァー協定”という協定を結んだ。この協定により、彼らは”波音(なみおと)の洞窟”の名で知られる不思議な洞窟内の豊富な鉱脈を共有することになったのである。鉱脈に富むだけでなく、この鉱山には偉大なる魔法の力があった。ヒューマンの呪文使いたちはドワーフやノームたちと手を結び、魔法のエネルギーを巨大な鍛冶場”呪文の鍛冶場”に流し込み、結びつけた。そこでは魔法の品々を作りだすことができたのだった。この古き良き時代には、近隣のヒューマンの街ファンダリンも同様に栄えていた。しかし災難がやってきた。オークどもがパルムフェンス中を荒らし回り、行く先々を略奪しつくしたのだ。
オークどもの強力な軍勢は、邪悪な魔道士たちを金で雇ってさらに力を強め、波音の洞窟を襲ってその富と魔法の宝物を奪おうとした。ヒューマンの魔道士たちもドワーフやノームの仲間と共に”呪文の鍛冶場”を守るべく戦い、結果として起こった魔法の激突により洞窟の大半は破壊された。ほとんどの者が地震や落盤で命を落とし、波音の洞窟の場所は分からなくなってしまった。
 
■参加キャラクター
(1) フリッツ・ブライアンフェルツ:ヒューマン、男、ファイター1
(2) ケリー・アイン       :ヒューマン、男、ファイター1 
(3) ライル・アンダーランド   :ハーフリング、男、ローグ1
(4) リアドリン         :ハイ・エルフ、男、ウィザード1
 
 ■冒険ログ
<ヴェラダインにて>
それぞの夢を追う若き冒険者たちは、パルムフェンス地方随一の大都市ヴェラダインにて、グンドレン・ロックシーカーという名のドワーフから依頼を受ける。開拓地のファンダリンにある”バーセンのよろず屋”まで無事に荷車を運んできて欲しいとの事だ。報酬は一人10gp。彼自身はシルダー・ホールウィンターという名の戦士とともに先にファンダリンまで向かっている。
依頼者のドワーフはとても気さくで人が良さそうな人物である。ただ彼はとても興奮しており、彼と彼の兄弟は何か大きな発見をしたようなのだ。『自慢したいが詳しく話せない』もどかしさを隠せていない。冒険者ギルドお墨付きの依頼主なので信用できそうだ。冒険者たちはそれぞれの理由で依頼を受け、荷物を受け取り、雄牛の引く荷馬車でグンドレンとシルダーの後を追った。
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<ゴブリンの待ち伏せ
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冒険者たちがヴェラダインを出立して数日経ち、安全な街道を外れて無法の開拓地へと向かう。共に過ごす中で冒険者たちはすっかり意気投合していた。二頭の雄牛が引く荷馬車はさらに細い道へと入る。もはやここは文明に守られた地ではない。山賊や追いはぎが横行し、それらから守ってくれる者はない。
ファンダリンへ向かう小道に指しかかった時、前方に二頭の馬の死体が転がって道を塞いでいるのが見えた。遠目だが黒い矢羽根が突き刺さっているのが分かった。ゴブリンたちが好んで使う矢だ!そこは藪の茂った小高い丘に囲まれた隘路で、待ち伏せに最適の場所だった。
馬車を置いて慎重に進んだ冒険者たちは、案の定ゴブリンの待ち伏せに遭ってしまう。駆け出しの冒険者とはいえ、数匹のゴブリン程度が彼らの相手になろうはずもなく、比較的容易に倒されてしまう。それどころか一匹を生け捕りにした冒険者たちは、その”ゲラ”というゴブリンを先導させて彼らの巣へと向かった。冒険者たちが見つけた馬こそ、先に出立したグンドレンとシルダーの乗っていた馬だったからだ!!
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<ギザ牙族の隠れ家・入り口>
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捕虜にしたゲラに先導させてグンドレンとシルダーが連れ去られた洞窟へと向かう冒険者たち。途中に罠が仕掛けられていたが、ゲラの協力(?)で無事に避けて通った。そこは小川の流れ出る洞窟で、ギザ族はここを拠点の一つとして追いはぎ行為を行っているようだ。元来弱い生物であるゴブリンは群れを作って生活し、周辺の村々を襲うことがある。しかし彼らは徒党を組んで罠を仕掛け、待ち伏せし、人間の旅人を襲って連れ去った。彼らを率いるリーダーがいるのだ!!ゲラによれば、ギザ族は強大な勢力を持つ大部族のようだった。彼らはここから数10マイルも離れた廃城を拠点として各地に広がっている。部族を率いているのは”グロール王”を名乗るバグベアで、この洞窟のリーダーもまた”クラーグ”という名のバグベアらしい。
驚くべきことに今回の襲撃は単なる野党行為ではなく、あらかじめ計画されたものだったのだ!数日前にクラーグの元にグロール王から伝令の使者が来て『グンドレン・ロックシーカーという名のドワーフが来ないか見張り、来たら彼と彼の持ち物をそっくりグロール王に届ける』という命令を受けた。どうやらギザ族に”黒蜘蛛”という人物やってきて金を払って依頼をしたらしい。彼らは命令どおりにグンドレンと彼の荷物をクラーグ王に届けたそうだ。仲間のヒューマンは洞窟西側の食堂に閉じ込めているらしい。
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<ギザ牙族の隠れ家・犬舎>
見張りのゴブリンはすっかり油断しており、あっという間に倒されてしまった。洞窟を入るとすぐに彼らの飼うウルフの巣があった。組織だったゴブリンは、鋭い嗅覚を生かすため、また番犬としてウルフを手なずけるのだ。鎖に繋がれた狼たちは侵入者に激しく吠え掛かるが、餌付けと<動物使い>で大人しくさせた。
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<ギザ牙族の隠れ家・橋>
洞窟を流れる小川に沿った道は険しい上り坂になっており、小川は水位こそ低いものの流れが激しくなっている。川の向こうに脇道が見えたが、冒険者たちはそのまま川沿いに進み、木とロープでできたボロボロの橋が25ft(約7.6m)ほど高い所にかかっている所にきた。橋の上には無警戒のゴブリンの見張りがいた。ずる賢いゴブリンたちは小川の先にダムを作っており、侵入者を発見したら仲間に知らせてダムを崩し、そのまま押し流す手はずだった。射撃の名手であるケリーが見事にヘッドショットを決め、冒険者たちはクラーグのいる方へと向かった。
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<ギザ牙族の隠れ家・溜め池の洞窟>
険しい坂道を登ると、滝の轟音が洞窟内に響いていた。そこはゴブリンによって堰き止められたダムのある大きな空洞で、三匹のゴブリンが退屈しのぎにふざけあっていた。突然の侵入者の出現で驚いているゴブリンに冒険者たちは攻撃を仕掛ける。三体のうち一体は容易に倒したが、一匹はあらかじめそう命じられていたのか、奥の部屋へ逃げ込んでクラーグに知らせに行った。残る1体に意外な苦戦を強いられたまま、冒険者たちは奥の部屋も警戒する。
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<ギザ牙族の隠れ家・クラーグの洞窟>
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洞窟の深部もまた広い天然洞窟になっており、中央には石炭を燃やす焚き火があり、部屋の隅には略奪品が山と積まれていた。しかし明かりで照らしてもバグベアらしき姿は見えなかった。先ほど知らせに向かったゴブリンらしき影が岩陰に隠れる様子が見てとれた事から、洞窟のどこかに隠れ、不意打ちを狙っているようだ。
パーティーの盾である戦士フリッツがゴブリンに手間取っている間、後衛のケリー、ローグのライルがバグベアたちの相手をすることになってしまった。リアドリンはもう強力な魔法の発動は不可能だった。クラーグはペットの狼を突撃させ、ジャヴェリンを投げてくる。荷物の影に隠れて遮蔽を得たゴブリンたちの矢も脅威だ。狼の牙で傷つけられたライルを、ジャヴェリンを投げきったクラーグのモーニングスターが襲う!やっと戦線に復帰したフリッツが次々と敵を倒していくが、バグベアの《蛮力》を発揮させた強力な一撃を受けてライルが吹っ飛び、意識を失ってしまった。それでも冒険者たちはゴブリンを率いるクラーグを倒し、急いでライルを治療するのだった。ゴブリンたちが盗んだ荷物の中にキュア・ポーションがあったことが幸いした。彼らはよく働いていたようで、銅貨や銀貨も見つかった。荷物の中にはファンダリンの獅子盾商会の印章が入った物もあり、これを届ければ見返りが期待できるだろう。
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<ギザ牙族の隠れ家・ゴブリンのねぐら>
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ゴブリンを率いる者は倒したが、事件はまだ解決していない。グンドレンがどこに連れ去られたのかは不明だが、彼の連れであるシルダー・ホールウィンターはこの洞窟に囚われたままだ。冒険者たちは橋を渡ってひどい匂いのするゴブリンの洞窟を進んだ。西側の奥はゴブリンたちのねぐらになっており、数体のゴブリンがギャーギャー騒いでいた。ねぐらの奥は10ft(約3m)ほどの崖になっており、そこにやや体格のよいゴブリンと拷問されて傷だらけのシルダーがいた。
冒険者たちはゴブリン数体を倒すが、その勢いに押されたゴブリンがシルダーを人質にした交渉をしてきた。金貨10枚と引き換えにシルダーを渡すと言うのだ。お互いを信じられない中で、冒険者たちは撤退を装って隠れ、隙を突く作戦を立てた。しかし隠れ場所が悪かったのか、急に人数が減ったことを不信に思ったのか、ゴブリンたちに小細工がバレ、シルダーが刺されてしまう。狭い通路での戦いは長引き、シルダーの命がどんどん流れ出ていく。それでも何とかゴブリンを倒し、残っていたキュア・ポーションで彼の命を救った。

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<シルダー・ホールウィンター>

救出したシルダーは50歳近いヒューマンで、ヴェラダインの騎兵隊の名誉ある地位にある人だった。また彼はヴェラダイン周辺の治安を守り、仕える領主に名誉と栄光をもたらす『Federation of Dominions(領主連盟)』の活動員でもあった。シルダーは彼の仲間の魔法使いイアルノ・アルブレックが、およそ二ヶ月前にファンダリンに組織の支部を建設するため向かったが、そのまま行方不明になっており、ちょうど探しに行こうとしていた所でグンドレンと出会ったのだ。ドワーフに同行して、仲間の捜索と再開拓地の手伝いや治安維持に尽力しようとしていたのだ。

グンドレン・ロックシーカーは思っていたよりも重要な人物だった。ロックシーカー三兄弟(グンドレン、タルデン、ヌンドロ)は伝説の『波音の洞窟』の入り口を見つけ出した(※冒険の背景参照)。グンドレンはその入り口を記した地図を持ち歩いており、いつか鉱山を再開発して魔法の炉を見つけ出そうとしていた。ギザ族のグロール王は”黒蜘蛛”なる謎の人物と取引し、グンドレンと地図を彼らの居城へと連れ去ってしまった。

波音の洞窟に眠る”呪文の鍛冶場”が悪の手に渡れば、彼らは強大な魔法のアーティファクトを生み出し、もはや誰も手出しできない力を手に入れてしまうだろう。悪の勢力を倒し、さらわれたグンドレンを救出するため、ギザ族の城を探し出さねばならない。このパルムフェンスの新たなる脅威を取り除くべく冒険者達の活躍はまだまだ続く。