パルムフェンス キャンペーン

D&D3.5 オリジナルキャンペーン資料

第9話「From the Depth of Dark Water (仄暗い水の底から)」Vol.1【急襲!ブブリク族!】

■参加キャラクター
(1) アノーリオン     :半エルフ、男、クレリック4(ラサンダー) / ファイター4
(2) ウズサロ       :半オーク、男、バーバリアン6 / ファイター1
(3) ”魔弾の” ザック    :ノーム、男、ウィザード8
(4) ナイロ        :エルフ、男、ローグ5 / レンジャー3
(5)フィル・オニキス   :エア・ジェナシ、女、スワッシュバックラー3 / ファイター1 / デュエリスト3

 

■冒険の前日譚

コンゴウ国解放の知らせは、すぐさま広められた。カシワイ谷の集落から近隣の村々へ。アニマル・メッセンジャーセンディングの呪文によって、より遠くへも伝えられた。

パルムフェンス中に散り散りになっていたゴールド・ドワーフ達が、100年ぶりに故郷へと足を向けていた。彼らのほとんどは、大正門をくぐると、その場に泣き崩れた。あふれ出した望郷の念や、荒れ果てた国を憂いて。やがて涙を流し尽くした彼らは、再び立ち上がり、コンゴウ国の再建作業へと踏み出すのだった。

復興は急ピッチで進められた。ドワーフは、毛むくじゃらでずんぐりむっくりの体型からは想像もできないほど器用な種族だ。身長の何倍もある巨石を、滑車やテコを使って、いとも簡単に動かし、積み上げていく。女性のドワーフたちはその間に、編み機や調理器具を直し、寝床に使う毛布やカーテン、毎夜ごとに行われる宴会を彩る食材を生み出している。

激戦の疲れが癒えた冒険者たちは、手に入れた宝を数えたり、瓦礫を運ぶのを手伝ったり、復興の障害となる生き残ったクリーチャーや亡霊退治をしたりしている。目下の悩みごとは、志半ばで倒れた仲間“ウズサロの復活”である。

■冒険ログ
<ウズサロの復活>
コンゴウ国には、ドワーフの創造主たるモラディンの神殿がある。その高司祭オイケン・ロックナックルは9LVクレリックであり、レイズ・デッドの詠唱が可能である。疎開していたオイケン司祭は、他のゴールド・ドワーフ同様、コンゴウ国復興の報を聞くや、すぐに荷物をまとめて帰国の途についている。

冒険者たちは死者蘇生に必要な5000gpを用意して、オイケン高司祭の帰国を待つことにした。事情を聴くや、グローナ王女の懇願もあり、高司祭はレイズ・デッドの儀式を承諾してくれた。

急いで片付けられたモラディン神殿の台座に、冷たくなったウズサロの亡骸が寝かせられた。司祭は手慣れた様子でモラディンに祈りを捧げると、ウズサロの身体から光の柱が伸びる。やがてその光の柱の中を白い靄のようなものが漂い降り、光と共にウズサロの身体に吸収された。数刻の間のあと、ゆっくりとウズサロの目が開かれた。

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<邪悪な魔術師の遺産>

バラックの仲間の一人、ハーフエルフのウィザード“ゼモン”が持っていた呪文書は、秘密主義で、疑り深く、陰湿な彼の性格を表しており、ほとんど全てがシークレット・ページの呪文で暗号化されていた。
もしこの暗号を解読することができれば、敵ながら強力なウィザードであった、彼の長年の魔法研究の成果を手に入れることができるだろう。
冒険者たちはオイケン司祭の協力を得て、ゼモンの死体にスピーク・ウィズ・デッドをかけ、暗号を解除するキーワード聞き出した。ザックは彼の呪文書を解読し、研究し、何日もかけて自らの呪文書に書き写していった。

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<新たなる脅威>

呪文書の解読から数日後。コンゴウ国に新たな問題が発生した。

下層部の復興を行っていたドワーフたちが、突然クオトアの一団に襲われたのだ。すぐに討伐隊が組織され、一時的にはクオトアを撃退したものの、どうやら深部にクオトアの群れが巣くっているようで、彼らの襲撃が止むことは無かった。重なる戦闘でドワーフ側に多くの犠牲が出てしまった。そしてやっと、これまで何度かあった “ドワーフたちが留守にしている間に巣くっていたクリーチャーとの遭遇ではない” ことに気付いたのであった。

深部の偵察に成功したドワーフが、700匹以上の大軍勢が地底湖のダムに陣を張り、周辺を完全に制圧しているのを発見したのだ!しかもクオトアはダムの水路を破壊し、水の流れを変え、下層部のほとんどを水没させていた。今もなお、水かさが増え続けている。さらに最悪なことに、そのダムには赤みがかった鱗に覆われた超巨大な多頭のヘビのようなクリーチャーが我が物顔で泳いでいたと言うのだ。

一報を受けたグローナ王女は、それが彼女の曾祖父にして、英雄王として名高い“雷鳴王”ダロキンによって、300年ほど前に打ち負かされた「ブブリク族」のクオトアであると確信した。フィルスネイカーが倒され、まだ国力を回復していないこの時を狙って、復讐戦を挑んできたのだ。

斥候の話によるとブブリク族は700匹以上いる。対して、コンゴウ国に集まっているドワーフは800人ほど。そのうち戦える者は500人にも満たない。また戦場となる地下区域のほとんどが水没または水に浸かっており、水棲生物であるクオトアに有利だ。

グローナ王女は、クオトア族の目的がコンゴウ国の水没と支配にあると見抜き、全軍でダムを攻撃すると見せかけ、その隙に少数精鋭部隊によるダムの放水を止める作戦を思いついた。
この戦争にはグローナ王女自ら参戦し、王国の存亡をかけて、アンダーダークの邪悪な水棲種族と戦う。正規軍こそが囮なのだ。
そしてダム攻略を担う重要な役割を、救国の英雄である冒険者たちに依頼した。

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<ダム攻略作戦の概要>

作戦はこうだ。

冒険者たちは、モグラ型の魔法機械“モールキャスト8号”に乗ってダムに侵入する。これはかつて地底ダムの建設や坑道の採掘に使われていた古代の機械を改造したものだ。改造者であるノームのワンドリ・フニッパー氏が、滞在先のヴェラダインより帰国し、彼の(爆発を逃れた)発明品とともに格納庫から見つけ出し、どうにか3時間ほど動かせるだけの燃料を確保してある。
ちなみにモラディンの高司祭オイケンが、コミューンを使って「たどり着ける」という結果を得ているので、ドワーフは誰も心配はしていない。

その後、金庫室に転移しているであろう”バルドのアーケインストーン”を見つけ出す。これはダム修復の力を持った古代のアーティファクトで、モラディンの聖句を唱えて正のエネルギーを注入すれば起動する。

このアーティファクトの力で、クオトアによって破壊されているであろう地底湖からの給水口やバルブ3か所を修復して閉め、最後に下層部へ流れる水の放水口を修復してバルブを閉めるのだ。

コンゴウ国軍がクオトア軍に勝てる見込みは非常に少ない。少しでも早くダムを攻略し、水路の水の流れを変えなければ、コンゴウ国軍はクオトア軍に敗退してしまうだろう。

クオトアは狡猾な生き物だ。またダムに巣くっているのがパイロヒュドラであることを確信した冒険者たちは、準備に入念な時間を費やした。