パルムフェンス キャンペーン

D&D3.5 オリジナルキャンペーン資料

「腐敗の影」第一回

■参加キャラクター

(1)アグン:ヒューマン、男、ローグ
(2)“独り狩る者”ヴェル・カラギアノ:ゴライアス、男、ファイター
(3)ウォレン・ダブルロック:ディープ・ノーム、男、ウィザード
(4)ケイレス:ウッド・エルフ、女、ドルイド
(5)スワロー:タバクシー、女、バード
(6)ルチェ・ソワーレ:ヒューマン、男、クレリック[アモーネイター]

 

■冒険の前日譚

港町ヴェラダイン。100年前の巨人戦争で王家が途絶えて以来、代表者9名による評議員によって自治運営されている街だ。海洋貿易の中継地点であり、古今東西のあらゆる品物、生物、そして厄介事が集まるところでもある。

ここに、立身出世を夢見た6人の冒険者たちが集まった。この街のスラムで育ったヒューマンの男性・アグンは、貧困からの脱出を試みて。雲よりも高き山から降りてきたゴライアスの男性・ヴェルは、強者たらんとして。探求心を抑えきれず、地下世界アンダーダークから這い出てきたのはノームの男性・ウォレン。閉鎖的な森の暮らしを捨てたエルフの王族の女性・ケイレス。神秘の種族タバクシーの女性・スワローは、新天地での可能性探しに。アモーネイター神の信徒であるヒューマンの男性・ルチェは信仰のために。

 

■海王の角笛亭

ここはサウス・スプール通りにある冒険者の宿「海王の角笛亭」。

腕自慢の冒険者たちと、その腕を見込んで厄介事の解決を依頼しにくる者たちが集まる酒場兼宿屋だ。君たちは思い思いの過ごし方をしている。剣に砥石を当てているのかもしれない。可動域を確保するために鎧の留め具を調整しているのかもしれないし、年季の入った傷だらけのテーブルに冒険道具を並べ、入念なチェックをしているのかもしれない。あるいは口元をゆるませながら、手に入れた金貨を数えているのかもしれない。

すると扉が勢いよく開き、かっぷくのよさそうな人物が入ってくる。彼は薄暗い店内を見回してから、店主と何やら話をし始める。その間、店主はチラチラと君たちを見ている。どうやら依頼のようだ。

 

■冒険の依頼

彼の名は「ウェイン・コーウェン」。40代後半のヒューマンで、実家で作った乳製品や革製品の行商をしている人物である。彼はヴェラダインから数日の距離にある開拓地「ファンダリン」に頼まれていたチーズを届けに行きたいらしい。いつも護衛を頼んでいた冒険者たちが別の仕事で旅立ってしまい、代わりに護衛してくれる人を探しているのだ。

快く依頼を引き受けた冒険者たちは、翌朝、コーウェンの幌馬車を護衛してファンダリンへと旅立った。

 

■飢えた群れ

幌馬車はチーズの匂いを撒き散らしながらゆっくりと進む。何とか日が暮れる前にファンダリンへ着きそうだと思っていた時、周囲の木立がガサガサと揺れると、大小さまざまなネズミの群れが黒い絨毯となって飛び出してきた!!

中には、中型犬ほどの大きさのネズミもいる。ジャイアント・ラットだ!

冒険者たちはジャイアント・ラットに的を絞り、自慢の武器で切りかかった。意外と素早いネズミに大振りのアックスが当たらず、少々苦戦するも、ヴェルは一撃でネズミを仕留めていく。孤立したケイレスが重傷を負うも、彼がネズミを引き付けている間に、魔法使いたちの炎の矢や電撃が、馬車に取りついたネズミを打ち倒していく。

そしてついにネズミたちは一掃された。

 

不幸にもコーウェン氏も傷を負ってしまった。冒険者たちは日が暮れる前に町へ着く方が安全だと判断し、傷の手当と小休憩だけ済ませるとファンダリンへと急いだ。

 

■開拓地ファンダリンの町

事前にヴェラダインで調べたところによると、ファンダリンは、数百年前に栄えていたヒューマンの町の跡地に作られた開拓町である。以前は近隣の山脈から採れる鉱物で賑わっていたが、オークの軍勢の襲撃に遭い、この町は一度滅んでいる。

その町を再建しようと開拓者たちが集まり、廃墟と化したファンダリンの再建を試み始めたのはここ3、4年のことである。再建された町は今ではすっかり賑やかな開拓地として発展し、農夫に木こり、毛皮商人、そして山脈のふもとに眠るという金やプラチナの噂にのめりこんだ山師たちの拠点となっている。

コーウェン氏はネズミにかじられなかった数袋のチーズを、依頼主である“ストーンヒルの宿屋”の主人「トブレン・ストーンヒル」に届けた。しかし依頼した量が揃っていないことで少々の諍いが起こる。冒険者が丁寧に事情を説明すると、トブレン氏は自分の早合点を謝し、被害を最小限に抑えた君たちの働きを労ってくれた。

冒険者たちは無事に依頼の半分を達成したのだ。あとは帰りの護衛だけである。しかし……冒険者たちの新たな冒険がここファンダリンで始まろうとしているのだった。