パルムフェンス キャンペーン

D&D3.5 オリジナルキャンペーン資料

新DnD3.5 「闇の礼拝堂 The Dark Crypt」

■参加キャラクター
(1)アウリア       :人間、女、モンク2LV
(2)スーリオン      :ハーフエルフ、男、ウーィアン2LV
(3)レイグ        :シールド・ドワーフ、男、パラディン2LV [ティア/モラディン]
(4)グニンドラ      :人間、男、クレリック2LV [バハムート]
(5)ネラリス・スワーレン :キャット・フォーク、女、ニンジャ2LV
■プロローグ
 旅の準備は整った。君たちは故郷で長い年月をかけて、様々な武器の使い方を、重い鎧や盾を身につけて素早く動く方法を、正しき神の声を聞く方法を、世界に満ちる織(おり/ウィーヴ;D&D世界の魔力のこと)を操る方法を、罠や錠前の機構を、野山での生き方を、危険なクリーチャーの生態を、そして世界がどれほど広く可能性に溢れているかを、どれだけの財宝が隠されたままになっているかを学んだ。
 安寧な生活は終わった。奪われたのかもしれないし、自ら捨てたのかもしれない。旅立ちの朝、君たちは家族や師、友人に見送られて、またはこっそりと逃げ出すようにして、場合によっては叩き出されて旅に出た。
■冒険の導入
 君たちは旅の途中、宿場町として栄えるハーデクールの町に立ち寄った。ここには空きっ腹を刺激する羊を焼く匂いが立ち込める食事処があり、名産のエールと近くの農地で採れる果物から蒸留した果実酒が乾いた喉に流れるのを待っている。たいていの店では二階が宿にもなっており、地面よりは柔らかい場所で快適かつ安全に足を伸ばして休めるだろう。
 ハーデクールの町はさまざまな問題を抱えている。その中で冒険者たちが首を突っ込めるような問題は、旅人を襲ったり、夜中に近隣の村などに現れては、盗みをしたり、家畜をさらったりしているコボルドについてだ。近隣の村人たちや旅人は、生活を脅かすコボルドの存在を煩わしく思っているが、町の警備隊は他のもっと大きな問題を優先しており、なかなか本腰をあげて解決しようとしてくれない。その代わりコボルドたちには賞金がかけられている。
 人々の噂によれば、コボルドは町から徒歩で3時間ほどの森林地帯を抜けた先の丘陵地帯にある遺跡を根城にしているらしい。
 


ハーデクールの街

■遺跡の入り口
 遺跡はぽっかりと大きく開いた洞窟の中にあった。天井にはびっしりとコウモリたちが張り付いており、下手に刺激したら一斉に飛びかかってくるだろう。足元には彼らの糞が乾燥して壊れやすい小石のように敷き詰められている。
 そこにはコボルドの足跡と彼らのペットであるウィーゼル(イタチ)の足跡がくっきりと残っていた。


遺跡入り口

■埋葬室
 遺跡は数百年前に滅んだ文明によって建てられた地下墓地であった。あちこちに埃とクモの巣だらけのしゃれこうべが寝かされており、黄ばんで風化寸前であった。
 冒険者たちはコボルドの仕掛けた幼稚だが危険な罠を避けながら、彼らの隠し通路を潰していく。レイグのディテクト・イーヴルによって先に潜む悪を突き止めた冒険者は、重い石の扉を開け、驚いて逃げようとするコボルドを仕留めた!
■ウィーゼルの飼育場
 コボルドはウィーゼルをペットにしており、戦闘や狩りの相棒としてよく仕込んでいる。レイグの生まれたドワーフの部族でも野生動物を仕込んでいるようで、洞窟に潜む危険や地下世界アンダーダークからやってくるクリーチャーに対抗するため、野生動物たちの優れた感覚を利用している。レイグもまた野生動物の扱いに長けており、コボルドのペットであるウィーゼルを飼いならしてしまった。
コボルドの居住スペース
 冒険者たちはコボルドの居住スペースに殴り込んだ!!7匹のコボルドたちは甲高い鳴き声を上げながら慌てて武器を持つが、有利を得た冒険者たちによって、あっという間に倒されていく。不利を悟った数匹が奥の部屋へと逃げ出すが、それを追って倒していく武闘派のアウリア。


コボルド

コボルド・チーフ(酋長)
 コボルドたちが逃げ込んだのは、彼らの酋長の部屋であった。そこは石壁に囲まれた細長い部屋で、崩れた石製の長椅子や台座から、かつては礼拝堂であったと思われる。侵入者があることを知った酋長は、獰猛なダイア・ウィーゼルを檻から解き放ち、用意周到に待ち構えていた!コボルド・チーフは「雄牛の神様の生け贄にしてやる!」と黒幕の存在をチラつかせながら襲ってきた!!
 レイグがダイア・ウィーゼルに飛びかかられたものの、アウリアがウィーゼルの首を締めあげて失神させてしまう。グニンドラの援護とスーリオンの鋭いスピアの一閃が決まり、人間社会を脅かしていたコボルドの脅威は取り除かれた。
■奈落の使者
 冒険者たちがコボルドを全滅させると、どこからか拍手喝さいが聞こえてきた。
「ぱちぱちぱち。お見事です!勇者殿!!」
 スーリオンのディテクト・マジックで、変成術(おそらくインヴィジビリティ)を使っている何者かを感知したが、声だけで姿は見えなかった。
 声の主は自らを「ヤービット」と名乗り、コボルドを倒した勇者に仕えたいと申し出てきた。冒険者たちが姿を現すように促すと、そこにコウモリのような羽根を生やした緑色の小さいクリーチャーが現れた。
 奈落のデーモンの使者クアジットだ!!


クアジット

 この小型の悪魔によると、ここは滅んだ文明が作った地下墓地であり、永い間人知れず埋まっていた。およそ数百年前に、とある都市を追われたデーモンのカルト信者たちによって発見され、深部に邪悪な神殿が作られたという。
 やがてこの邪神殿も何らかの理由により崩壊し、そのまま地下に眠ったままであった。それを最近になってコボルドが発見して棲みついたという。デーモンは奈落からコボルドに影響を及ぼし、埋まっていた神殿を発掘させた。現世への影響力が強まったデーモンは更に支配力を強めようと、クアジットを派遣したということだ。
 ヤービットの仕える奈落のデーモン・ロードは“獣のプリンス”バフォメットであった。


バフォメット

 小鬼は、共にデーモン・ロードに仕え、世界に破壊と混乱を招き、やがては奈落の魔将の一人として奈落の一角を占めるよう求めてきた。
 冒険者たちは反対するが、スーリオンは小鬼をうまく騙し、自らの使い魔とすることにした。奈落の手先との奇妙な関係は彼の人生にどのように影響するだろうか?
■エピローグ
 こうしてハーデクールの町の悩み事を解決した冒険者たちは、警備隊から報酬をもらい、冒険は終わった。冒険者たちの活躍がなければ、デーモンの暗躍はハーデクールで密かに広がっていったであろう。
 やがて多くの吟遊詩人たちから英雄譚として謳われる物語は、こうして始まったのであった。

DnD5e「腐敗の影」第三回

■参加キャラクター

(1)アグン        :ヒューマン、男、ローグ
(2)ウォレン・ダブルロック:ディープ・ノーム、男、ウィザード
(3)ケイレス       :ウッド・エルフ、女、ドルイド
(4)スワロー       :タバクシー、女、バード
(5)ルチェ・ソワーレ   :ヒューマン、男、クレリック[アモーネイター]

 

■前回まで

再開発中の開拓地・ファンダリンの町に着いた冒険者たちは、ネズミの大量発生で町に病が広まっていることを知った。宿屋の主人トブレンと果樹園の主ダランに依頼され、ネズミ問題を解決することになった。

住人達から話を聞くと、テオミナ川の支流の一つの洞窟が怪しいと分かり、洞窟内へと進んだ。トログロダイトを倒し、巨大なクモを倒した冒険者たちは、さらに深部へと進んだ。

■行き止まりと隠し通路

滝の洞窟から少し進むと、洞窟は行き止まりになっていた。よくよく探索すると、人為的に崩された通路が二つあり、小型クリーチャーなら通れるほどの小道が作られていた。またそれとは別の狭い通路も見つけた。

小道はもろい砂岩を崩して作られており、下手に手を加えると崩落する恐れがあった。そしてそれは、そうなるように意図されているのだ!

 

■鉱脈

背が小さく、隙間で自由に動け、かつ上級暗視を持ったノームのウォレンが探索し、狭い通路の先が未発見の鉱脈であることが分かった。ウォレンはそこで未加工のルビーの原石を発見する。

 

■ゴブリンの巣

人為的な小道の先は、トログロダイトを警戒して作られたゴブリンの巣になっており、そこには大量のネズミもいた!目的の場所はここで間違いなさそうだ。

タバクシーの中でも体格のよいスワローには、北の小道が狭すぎると考えた冒険者たちは、東の小道に身体を押し込んで進もうと考えた。

 

しかし鼻の利くネズミに嗅ぎつかれ、戦闘が始まってしまう!!

ネズミを飼いならしているゴブリンたちは、ストーンヒルの宿屋で出会った冒険者たちが言っていた、群れから離れた(追い出された)ゴブリンたちであろう。やせ細っており、粗末な剣と鎧で武装している。

彼らはトログロダイトが襲ってきたと早合点し、ネズミと共に襲い掛かってきた!

 

ゴブリンとネズミは数こそ多いものの、一体一体はひ弱な生物だ。次々と新米冒険者たちの研ぎたての刃の餌食となっていく。またウォレンが隘路に敵を誘い込み、自分を危険にさらしながらも、範囲魔法で一気に勝負を決めた。

 

■ファンダリンへの帰還・新たな冒険の始まり

冒険者たちの活躍で洞窟からやってくる脅威は排除された。これで新たに病にむしばまれる町人は出なくなるはずだ。ファンダリンの町はゆっくりと平和な町にもどる……はずだった。

冒険者たちが依頼を成功させて戻ってくると、トブレンとダランは大喜びで君たちを迎えた。この依頼は、君たちが信頼できる者たちであるか確かめるのに、ちょうど良いものだったようで、二人は顔を合わせてうなずいた後、この町で起こっている真の脅威について話し始めた。

再開発が始まったばかりのファンダリンの町は、まだ警備機構に乏しく、外からやってくる危険に対して無防備に等しい。ここまで手に入れた町の富も、盗賊の一団によって容易に奪われてしまうだろう。

 

■古き盟約の守り人

トブレンの宿には、シルダー・ホールウィンターと言う老騎士が宿泊している。彼はつい最近ゴブリンの住処から、冒険者たちによって助け出された。

シルダーは『領主同盟』という、古い正義の誓いを守ろうとしている組織の一員である。『領主同盟』とは、王(統治者)のいないパルムフェンス地方で、正義を守ろうとする有志たちによって作られた組織だ。彼らの組織は、ここファンダリンを守護しようとしており、そのエージェントとして彼がやってきたのだ。

しかしゴブリンの計画的な犯行によって、彼は囚われの身となってしまった。ここファンダリン周辺で、ゴブリンが何かしらの意図をもって活動しているらしい!

 

■赤印組(レッド・ブランズ Redbrands)

ファンダリンの町全体を、目に見える形で脅かしている問題が、赤印組の横暴である。彼らは盗賊や山賊のよせ集めであり、無法者の集団である。メンバー全員が赤いローブを着ているので、赤印組と呼ばれている。

彼らは町外れの酒場によく出入りしており、また郊外にあるトレセンダー屋敷跡の地下をアジトにしている。気まぐれに町にやってきては、難癖をつけて金品を奪ったり、暴力をふるったり、無法の限りを尽くしてしている。しかし臆病者で利己的な町長のハービン・ウェスタは何もしようとしない。

また赤印組が勢力を伸ばした背景には、「ガラス杖」と呼ばれるリーダーの存在が大きいようだ。

 

■オールド・アウル・ウェルの怪

ダランによると、ファンダリン北東の丘陵地にいる鉱夫たちから、誰かがオールド・アウル・ウェルと呼ばれる廃墟を掘って回っているという話を聞いた。気味の悪いことに、何人かの鉱夫たちがアンデッドに襲われ、その一帯を追われているという事実である。オールド・アウル・ウェルはファンダリンから徒歩で2-3日の所にある。廃墟は古代魔法王国ネザリルの遺跡であり、かつての監視塔であった。もしかしたら何か危険な魔法が眠っているかもしれない。ダランはそこへ行き、誰が何をしようとしているのかを探ってくれる勇敢な冒険者を探していた。

 

ファンダリンの町は、他にもいくつかの問題を抱えているらしく、獅子盾商会の女主人・リネンも何か悩みを抱えているらしい。冒険者たちが活躍するべきだろう。

DnD5e「腐敗の影」第二回

■参加キャラクター

(1)アグン            :ヒューマン、男、ローグ
(2)“独り狩る者”ヴェル・カラギアノ :ゴライアス、男、ファイター
(3)ウォレン・ダブルロック    :ディープ・ノーム、男、ウィザード
(4)ルチェ・ソワーレ       :ヒューマン、男、クレリック[アモーネイター]

 

■前回まで

港町ヴェラダインの「海王の角笛」亭で出会った異色の冒険者たちは、コーウェン氏の依頼を引き受け、彼の行商の護衛として、開拓町ファンダリンへと向かった。

その道中でネズミの大群に襲われたが、何とか荷物(チーズや肉類)の全壊は防いだ。日が沈みかけた頃、冒険者たちはファンダリンに到着した。

 

■ストーンヒルの宿屋

コーウェン氏のチーズは大盛況で、いつもより豪華な食事にありつけた町人たちは、誰もが舌鼓を打っている。冒険者たちが晩餐を過ごしていると……宿屋の亭主トブレン・ストーンヒルが、ハーフエルフの老人を連れてやってきた。ネズミ退治の話を聞いて、この老人が冒険者たちに頼みたいことがあるという。

老人は「ダラン・エダーマス」と名乗った。彼はひとかどの人物のようで、見事な銀の長髪と深いシワ、そして歴戦の証たる戦傷が見えた。彼はエールで赤らんだ顔に、人当たりのよい笑顔を浮かべながら話す。

「実は、トブレンから君たちの話を聞きましてな。なんでもネズミ退治の名人だとか。
実は一週間ほど前から町の付近にネズミたちが湧くようでしてな……うちも果樹園を荒らされて困っておるのです。それだけならまだしも、彼奴らが何か悪い物でも運んできたのか、町の連中に体調を崩すものが増えてきております。」

「みなさま方の腕を見込んで相談なのですが、どうか原因を探ってくれないだろうか?もちろんタダとは言いません。もしネズミの問題を解決してくれたなら、私とトブレンから20gpを報酬として支払わせていただきます。」

コーウェン氏も、町の住人と友好的な関係が築けることは、商売としてもありがたいと、承諾してくれたことで、冒険者たちはダラン老人の依頼を受けることにした。

  

 トブレン・ストーンヒル    ダラン・エダーマス

■情報収集

すでに外は暗くなっており、ほとんどの棟が戸を閉め切っている。しかし幸いなことに、この宿には晩飯とアルコールを求めて、幾人かの町人が集まっている。冒険者たちは、まずこの宿にいる人たちから話を聞き始めた。

 

カウンターに座り、宿主の妻トリレン・ストーンヒルと話しているのは、30代のヒューマンの女性だ。彼女は近づきがたい人相をしているが、今はとても上機嫌のようで、机をたたき、大きな声で笑いながらトリレンと話しをしている。

しかし見知らぬ冒険者たちが近づくと、値踏みするようにジロジロと見つめた後、彼らの武具の扱い方について、あれやこれやと嫌味を言い始めた。

彼女はリネン・グレイウィンド。ヤーターの町から派遣されてきた“獅子盾商会”のファンダリン支部をしている女性だ。キツイ性格の毒舌家ではあるが、以外にも人情家であり、町の女性たちと非常に仲が良い。また大変な情報通でもあるようだ。

冒険者たちは彼女から、今この宿にいる人たちについて教えてもらえた。

リネン・グレイウィンド

 

店の隅に座っている若いドワーフの男性は、鉱夫のスノーリ・リンドリアームだ。若く自信にあふれる彼は、ゴライアスのヴェルに腕相撲の勝負を挑んできた!鉱山で鍛えられたドワーフも、7000ヤード(約6400m)を越える過酷な山脈で生きてきた巨人族の亜種には敵わなかった。

素直に負けを認めたスノーリは、町の北にある丘陵地帯の中でも、モロの丘と呼ばれる地域で生木や動物の死骸を猛烈にネズミがかじったような跡を目にするようになったと教えてくれた。

スノーリ・リンドリアーム

 

カウンターの隅には二人の人物がいた。落ち込んだ様子で質素な食事をとっている農夫がタージ・ビート。その隣で彼を励ましている金髪の若いムーン・エルフの女性がシスター・ガラエルだ。彼女は町の広場にある“幸運の社”でタイモーラ神に仕えるクレリックである。

タージは町の北で穀物を作っている農夫だが、冒険者たちが話しかけても「放っておいてくれ」とふさぎ込んでしまう。隣の美しいエルフが代わりに事情を説明してくれた。どうやらネズミが出るようになってから、彼の最愛の息子が病で寝込んでしまっているらしい。ただの農夫が家にいても、かえって看病の邪魔になってしまい、息子のために何もできない自分を責めているらしい。幸いにも息子はガラエルの治療で快方に向かっているようだ。

冒険者たちは彼らからもネズミ退治をお願いされ、ガラエルから耐毒薬を貰った。

 

 タージ・ビート      シスター・ガラエル

 

次に誰に話しかけようかと思っていた所に、新しい客が来た。町の東を流れるテオミナ川で漁をしている熟練の老人だ。名をダン・ギョームという。なんと彼は従順なオオカミを連れている。住人たちは慣れているようで、テーブルの下で大人しく伏せているオオカミに文句をいう者はいない。

新鮮な魚を町に卸したばかりのダンに酒をおごると、彼は饒舌に話し始めた。

テオミナ川は町の南から東を通って、北へと流れていて、いくつかの支流に分かれている。その支流は洞窟に繋がっていることも多く、ある日彼は、とある丘の洞窟に大量のネズミが出入りしているのを見たことがあるという。どこの丘なのか忘れていたが、冒険者がモロの丘の名を出すと、彼は確かにモロの丘だったことを思い出した。

しかし川の周辺で仕事をする漁師や木こりたちは、そのあたりには岩肌そっくりのウロコを持つ人食いモンスターがいることを知っている。そのクリーチャーは夜行性であり、漁師たちは陽が落ちる前に仕事を終わらせることにしているのだ。

ダン・ギョーム

 

冒険者たちは最後に、大きめのテーブルについている4人組の冒険者グループに話かけた。彼らはファンダリン周辺でゴブリンなどのモンスターを狩っている一団だった。

多少は腕に覚えがある先輩冒険者たちから、岩肌のような保護色のクリーチャーがトログロダイトであることを教わった。

ケリー・アイン(23歳) ヒューマン/男性/ファイター2

フリッツ・ブラウンフェルツ(20歳) ヒューマン/男性/ファイター2

リアドリン(250歳) ハイ・エルフ/女性/ウィザード2

ライル・アンダーランド ハーフリング/男性/ローグ2

※彼らはファンデルヴァーの失われた鉱山 第1話「ゴブリンの矢」で使用したキャラクターたちです。

 

■モロの丘へ

住人たちの話をまとめると、病気の原因であるネズミたちは、町の北にあるモロの丘の洞窟からやってきているらしいことが分かった。
冒険者たちは、スノーリの飼っているジャイアント・ウィーゼル(大イタチ)を借り、またダンと狼のルーインにもついてきてもらうことにした。

翌朝、万全の準備をして洞窟へと向かうのであった。

 

■モロの丘の洞窟

モロの丘は野生動物の住処であるが、ダンの案内と幸運の女神タイモーラの加護か、特に危険はなく二時間ほどで着いた。そして道なき道を踏み歩き、ついに洞窟の入り口を探し当てた。

天然の洞窟の入り口は、陽の光がうっすらと周辺を照らしているが、数m先は真っ暗で何も見えない。空気がひんやりしており、奥から水の落ちる音が響いていて、大きな声を出さないと話ができそうにない。
洞窟は高さも広さも不揃いだ。壁面は凸凹しているが、磨かれたようにテカテカしている。ヒューマンサイズのクリーチャーでは気づかないような穴や通路に、危険な生物が潜んでいることがよくあるという。

 

■トログロダイトの巣

冒険者たちは激しい水音が反響する洞窟内を、松明を照らしながら慎重に進んでいく。やがて分かれ道を右に進むと、明らかに外から持ってきたと思われる瓦礫や木片などが散乱する広間に出た。

毒がある生物を警戒していたクレリックのルチェが“ディテクト・ポイズン(毒探知)”の呪文を発動し、岩壁に潜んでいたトログロダイトたちを見つけ出した!!

グループの盾役でもあるゴライアスの戦士ヴェルが、不快な匂いを撒き散らすクリーチャーを引き付けている間に、魔法使いたちの神秘の炎がトカゲのような醜怪な生物にとどめを刺した。

 

■滝の広場

洞窟の先は、岩の裂け目からゴウゴウと水が落ちる滝の広場になっていた。冒険者たちはここでも潜んでいるクリーチャーを先んじて発見することに成功した。低くなっている天井には、4フィート(約1.2m)ほどもあるクモが逆さにぶら下がっていた。また洞窟の壁面には、クモを恐れているのかジャイアント・ラットが窪みに潜んでいた。

ダンの相棒であるウルフのルーインが巨大ネズミを威嚇している隙に、冒険者たちは天井を逆さに歩いてくるクモたちと応戦した。アグンの剣閃によってクモの胴部に深手を負わせ、ウォレンによって万物に込められた“織”が破壊の炎となって襲いかかった。

冒険者たちはまたも洞窟の危機を乗り越えたのだった。

 

「腐敗の影」第一回

■参加キャラクター

(1)アグン:ヒューマン、男、ローグ
(2)“独り狩る者”ヴェル・カラギアノ:ゴライアス、男、ファイター
(3)ウォレン・ダブルロック:ディープ・ノーム、男、ウィザード
(4)ケイレス:ウッド・エルフ、女、ドルイド
(5)スワロー:タバクシー、女、バード
(6)ルチェ・ソワーレ:ヒューマン、男、クレリック[アモーネイター]

 

■冒険の前日譚

港町ヴェラダイン。100年前の巨人戦争で王家が途絶えて以来、代表者9名による評議員によって自治運営されている街だ。海洋貿易の中継地点であり、古今東西のあらゆる品物、生物、そして厄介事が集まるところでもある。

ここに、立身出世を夢見た6人の冒険者たちが集まった。この街のスラムで育ったヒューマンの男性・アグンは、貧困からの脱出を試みて。雲よりも高き山から降りてきたゴライアスの男性・ヴェルは、強者たらんとして。探求心を抑えきれず、地下世界アンダーダークから這い出てきたのはノームの男性・ウォレン。閉鎖的な森の暮らしを捨てたエルフの王族の女性・ケイレス。神秘の種族タバクシーの女性・スワローは、新天地での可能性探しに。アモーネイター神の信徒であるヒューマンの男性・ルチェは信仰のために。

 

■海王の角笛亭

ここはサウス・スプール通りにある冒険者の宿「海王の角笛亭」。

腕自慢の冒険者たちと、その腕を見込んで厄介事の解決を依頼しにくる者たちが集まる酒場兼宿屋だ。君たちは思い思いの過ごし方をしている。剣に砥石を当てているのかもしれない。可動域を確保するために鎧の留め具を調整しているのかもしれないし、年季の入った傷だらけのテーブルに冒険道具を並べ、入念なチェックをしているのかもしれない。あるいは口元をゆるませながら、手に入れた金貨を数えているのかもしれない。

すると扉が勢いよく開き、かっぷくのよさそうな人物が入ってくる。彼は薄暗い店内を見回してから、店主と何やら話をし始める。その間、店主はチラチラと君たちを見ている。どうやら依頼のようだ。

 

■冒険の依頼

彼の名は「ウェイン・コーウェン」。40代後半のヒューマンで、実家で作った乳製品や革製品の行商をしている人物である。彼はヴェラダインから数日の距離にある開拓地「ファンダリン」に頼まれていたチーズを届けに行きたいらしい。いつも護衛を頼んでいた冒険者たちが別の仕事で旅立ってしまい、代わりに護衛してくれる人を探しているのだ。

快く依頼を引き受けた冒険者たちは、翌朝、コーウェンの幌馬車を護衛してファンダリンへと旅立った。

 

■飢えた群れ

幌馬車はチーズの匂いを撒き散らしながらゆっくりと進む。何とか日が暮れる前にファンダリンへ着きそうだと思っていた時、周囲の木立がガサガサと揺れると、大小さまざまなネズミの群れが黒い絨毯となって飛び出してきた!!

中には、中型犬ほどの大きさのネズミもいる。ジャイアント・ラットだ!

冒険者たちはジャイアント・ラットに的を絞り、自慢の武器で切りかかった。意外と素早いネズミに大振りのアックスが当たらず、少々苦戦するも、ヴェルは一撃でネズミを仕留めていく。孤立したケイレスが重傷を負うも、彼がネズミを引き付けている間に、魔法使いたちの炎の矢や電撃が、馬車に取りついたネズミを打ち倒していく。

そしてついにネズミたちは一掃された。

 

不幸にもコーウェン氏も傷を負ってしまった。冒険者たちは日が暮れる前に町へ着く方が安全だと判断し、傷の手当と小休憩だけ済ませるとファンダリンへと急いだ。

 

■開拓地ファンダリンの町

事前にヴェラダインで調べたところによると、ファンダリンは、数百年前に栄えていたヒューマンの町の跡地に作られた開拓町である。以前は近隣の山脈から採れる鉱物で賑わっていたが、オークの軍勢の襲撃に遭い、この町は一度滅んでいる。

その町を再建しようと開拓者たちが集まり、廃墟と化したファンダリンの再建を試み始めたのはここ3、4年のことである。再建された町は今ではすっかり賑やかな開拓地として発展し、農夫に木こり、毛皮商人、そして山脈のふもとに眠るという金やプラチナの噂にのめりこんだ山師たちの拠点となっている。

コーウェン氏はネズミにかじられなかった数袋のチーズを、依頼主である“ストーンヒルの宿屋”の主人「トブレン・ストーンヒル」に届けた。しかし依頼した量が揃っていないことで少々の諍いが起こる。冒険者が丁寧に事情を説明すると、トブレン氏は自分の早合点を謝し、被害を最小限に抑えた君たちの働きを労ってくれた。

冒険者たちは無事に依頼の半分を達成したのだ。あとは帰りの護衛だけである。しかし……冒険者たちの新たな冒険がここファンダリンで始まろうとしているのだった。

第9話「From the Depth of Dark Water (仄暗い水の底から)」Vol.1【急襲!ブブリク族!】

■参加キャラクター
(1) アノーリオン     :半エルフ、男、クレリック4(ラサンダー) / ファイター4
(2) ウズサロ       :半オーク、男、バーバリアン6 / ファイター1
(3) ”魔弾の” ザック    :ノーム、男、ウィザード8
(4) ナイロ        :エルフ、男、ローグ5 / レンジャー3
(5)フィル・オニキス   :エア・ジェナシ、女、スワッシュバックラー3 / ファイター1 / デュエリスト3

 

■冒険の前日譚

コンゴウ国解放の知らせは、すぐさま広められた。カシワイ谷の集落から近隣の村々へ。アニマル・メッセンジャーセンディングの呪文によって、より遠くへも伝えられた。

パルムフェンス中に散り散りになっていたゴールド・ドワーフ達が、100年ぶりに故郷へと足を向けていた。彼らのほとんどは、大正門をくぐると、その場に泣き崩れた。あふれ出した望郷の念や、荒れ果てた国を憂いて。やがて涙を流し尽くした彼らは、再び立ち上がり、コンゴウ国の再建作業へと踏み出すのだった。

復興は急ピッチで進められた。ドワーフは、毛むくじゃらでずんぐりむっくりの体型からは想像もできないほど器用な種族だ。身長の何倍もある巨石を、滑車やテコを使って、いとも簡単に動かし、積み上げていく。女性のドワーフたちはその間に、編み機や調理器具を直し、寝床に使う毛布やカーテン、毎夜ごとに行われる宴会を彩る食材を生み出している。

激戦の疲れが癒えた冒険者たちは、手に入れた宝を数えたり、瓦礫を運ぶのを手伝ったり、復興の障害となる生き残ったクリーチャーや亡霊退治をしたりしている。目下の悩みごとは、志半ばで倒れた仲間“ウズサロの復活”である。

■冒険ログ
<ウズサロの復活>
コンゴウ国には、ドワーフの創造主たるモラディンの神殿がある。その高司祭オイケン・ロックナックルは9LVクレリックであり、レイズ・デッドの詠唱が可能である。疎開していたオイケン司祭は、他のゴールド・ドワーフ同様、コンゴウ国復興の報を聞くや、すぐに荷物をまとめて帰国の途についている。

冒険者たちは死者蘇生に必要な5000gpを用意して、オイケン高司祭の帰国を待つことにした。事情を聴くや、グローナ王女の懇願もあり、高司祭はレイズ・デッドの儀式を承諾してくれた。

急いで片付けられたモラディン神殿の台座に、冷たくなったウズサロの亡骸が寝かせられた。司祭は手慣れた様子でモラディンに祈りを捧げると、ウズサロの身体から光の柱が伸びる。やがてその光の柱の中を白い靄のようなものが漂い降り、光と共にウズサロの身体に吸収された。数刻の間のあと、ゆっくりとウズサロの目が開かれた。

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<邪悪な魔術師の遺産>

バラックの仲間の一人、ハーフエルフのウィザード“ゼモン”が持っていた呪文書は、秘密主義で、疑り深く、陰湿な彼の性格を表しており、ほとんど全てがシークレット・ページの呪文で暗号化されていた。
もしこの暗号を解読することができれば、敵ながら強力なウィザードであった、彼の長年の魔法研究の成果を手に入れることができるだろう。
冒険者たちはオイケン司祭の協力を得て、ゼモンの死体にスピーク・ウィズ・デッドをかけ、暗号を解除するキーワード聞き出した。ザックは彼の呪文書を解読し、研究し、何日もかけて自らの呪文書に書き写していった。

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<新たなる脅威>

呪文書の解読から数日後。コンゴウ国に新たな問題が発生した。

下層部の復興を行っていたドワーフたちが、突然クオトアの一団に襲われたのだ。すぐに討伐隊が組織され、一時的にはクオトアを撃退したものの、どうやら深部にクオトアの群れが巣くっているようで、彼らの襲撃が止むことは無かった。重なる戦闘でドワーフ側に多くの犠牲が出てしまった。そしてやっと、これまで何度かあった “ドワーフたちが留守にしている間に巣くっていたクリーチャーとの遭遇ではない” ことに気付いたのであった。

深部の偵察に成功したドワーフが、700匹以上の大軍勢が地底湖のダムに陣を張り、周辺を完全に制圧しているのを発見したのだ!しかもクオトアはダムの水路を破壊し、水の流れを変え、下層部のほとんどを水没させていた。今もなお、水かさが増え続けている。さらに最悪なことに、そのダムには赤みがかった鱗に覆われた超巨大な多頭のヘビのようなクリーチャーが我が物顔で泳いでいたと言うのだ。

一報を受けたグローナ王女は、それが彼女の曾祖父にして、英雄王として名高い“雷鳴王”ダロキンによって、300年ほど前に打ち負かされた「ブブリク族」のクオトアであると確信した。フィルスネイカーが倒され、まだ国力を回復していないこの時を狙って、復讐戦を挑んできたのだ。

斥候の話によるとブブリク族は700匹以上いる。対して、コンゴウ国に集まっているドワーフは800人ほど。そのうち戦える者は500人にも満たない。また戦場となる地下区域のほとんどが水没または水に浸かっており、水棲生物であるクオトアに有利だ。

グローナ王女は、クオトア族の目的がコンゴウ国の水没と支配にあると見抜き、全軍でダムを攻撃すると見せかけ、その隙に少数精鋭部隊によるダムの放水を止める作戦を思いついた。
この戦争にはグローナ王女自ら参戦し、王国の存亡をかけて、アンダーダークの邪悪な水棲種族と戦う。正規軍こそが囮なのだ。
そしてダム攻略を担う重要な役割を、救国の英雄である冒険者たちに依頼した。

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<ダム攻略作戦の概要>

作戦はこうだ。

冒険者たちは、モグラ型の魔法機械“モールキャスト8号”に乗ってダムに侵入する。これはかつて地底ダムの建設や坑道の採掘に使われていた古代の機械を改造したものだ。改造者であるノームのワンドリ・フニッパー氏が、滞在先のヴェラダインより帰国し、彼の(爆発を逃れた)発明品とともに格納庫から見つけ出し、どうにか3時間ほど動かせるだけの燃料を確保してある。
ちなみにモラディンの高司祭オイケンが、コミューンを使って「たどり着ける」という結果を得ているので、ドワーフは誰も心配はしていない。

その後、金庫室に転移しているであろう”バルドのアーケインストーン”を見つけ出す。これはダム修復の力を持った古代のアーティファクトで、モラディンの聖句を唱えて正のエネルギーを注入すれば起動する。

このアーティファクトの力で、クオトアによって破壊されているであろう地底湖からの給水口やバルブ3か所を修復して閉め、最後に下層部へ流れる水の放水口を修復してバルブを閉めるのだ。

コンゴウ国軍がクオトア軍に勝てる見込みは非常に少ない。少しでも早くダムを攻略し、水路の水の流れを変えなければ、コンゴウ国軍はクオトア軍に敗退してしまうだろう。

クオトアは狡猾な生き物だ。またダムに巣くっているのがパイロヒュドラであることを確信した冒険者たちは、準備に入念な時間を費やした。

クオトア

この人型生物は人間に比べれば少し背が低い。丸々と太った身体は細かい鱗に覆われており、ずんぐりとした、あるいは膨れたような外見をしている。腕と脚は細く、しなやかと言ってよいほどである。その先には、ヒレのように見える大きな手と腫れた足がついている。弾丸型の頭部は魚のようで、丸い銀黒色の目と針のように鋭い歯でいっぱいの大きな口を備えている。

 

クオトアは邪悪な性質と悪魔的な傾向で知られる、太古からの水棲人型種族である。

ほとんどの者たちは、このおぞましいクリーチャーとの接触を避けているが、時には避けるのが不可能なこともある。クオトアは大洋の最深部に棲んでいる、忘れられた太古の悪について多くの知識を持つ。

平均的なクオトアは身長5フィート(約1.5m)ほどで、その体重は160ポンド(約73kg)ほどである。

クオトアの体色はたいてい銀灰色だが、感情によって変化する。怒れば暗赤色となり、恐れれば薄い灰色か白色となる。クオトアの周りの空気は、強い腐った魚の臭いがまとわりついている。

クオトアはクオトア語、地下共通語、水界語を話す。

 

■クオトアの社会

クオトアは地下に共同体を築いて暮らすが、そこには気晴らしや繁殖のための水たまりが豊富にある。彼らは魚と同じように繁殖し、水陸両生の特殊能力が発達するまで(孵化してから約1年)、特別な水たまりで子供を育てる。

鞭令たちの勢力のおかげで、事実上、すべてのクオトアは女神ブリブドゥールプループの熱心な信者である。彼らはこの女神を“海なる母”と呼ぶ。どのクオトアの共同体にも、“海なる母”に捧げられた社が少なくとも1つはある。大寺院のある大きな共同体は、いくつかの小さな集落の中心となる。そうした共同体はグループ間交易や政治の中心でもある。ドラウ(ダーク・エルフ)はクオトアから恐れられ憎まれているにも関わらず、事実上すべてのクオトアの共同体はドラウとその下僕たちに開かれており、彼らは有用な品物やサービスを提供している。そうした敵意は、クオトアとドラウの間で起こる、多くの小競り合いや頻繁な誘拐のもとになっている。

 

■クオトアのキャラクター

クオトアの適正クラスはローグである。多くのクオトアのリーダーはクレリック/ローグのマルチクラスか、クレリック(鞭令)である。クオトアのクレリックはブリブドゥールプループを崇拝する。ブリブドゥールプループは“混沌にして悪”であり、好む武器はピンサー・スタッフである。ブリブドゥールプループのクレリックは以下のうちから2つの領域を選ぶことができる;悪、破壊、水。監護士と呼ばれるクオトアのモンクも存在する。

     

クオトアは、少々間抜けな見た目と違い、人間並みに賢いクリーチャーである。魔法を理解し、罠を警戒し、それなりのアイテムを作る器用さも持ち合わせている。集団になれば、目上のクオトアの命令に従い、組織だった行動を取る。

以下のデータは、一般的なクオトアのものである。クオトアの大部族には、様々なクラスのクオトアがいる。適正クラスであるローグを始め、集団を率いているのはブリブドゥールプループ神に使えるクレリックであるし、魔法の素質を持って生まれたソーサラーも存在する。彼らは獲物や敵勢力を待ち構えるために、魔法のものを含めた様々な罠をしかける。部族の大部分は訓練されたファイターである。彼らは粘着液を塗ったシールドで武装し、ピンサー・スタッフで相手をからめとる戦法を得意としている。

クオトア 中型サイズの人怪 <自然12>

脅威度: 2、[しばしば中立にして悪]、

クオトア語、地下共通語、水界語

HD:2d8+2、hp11

イニシア:0、速度20ft(4マス) / 水泳50ft(10マス)

AC16 (+6外皮)

またはAC18 (+6外皮、+2木製ヘヴィ・シールド)

接触10 / 立ちすくみ16または18、基本攻撃+2、組み付き+3

近接攻撃+3 (1d6+1、ショートスピア)

遠隔攻撃+2 (1d6+1、ショートスピア)

または+3 (1d4+1、噛みつき)

全力攻撃+3 (1d6+1、ショートスピア)

および-2 (1d4、噛みつき)

接敵面/間合い:5ft / 5ft、SV頑健:3 / 反応:3 / 意志:5

13+1,10+0,13+1,13+1,14+2,8-1

《電撃》《鋭敏視覚》《水陸両生》《毒と麻痺に対する完全耐性》《[電気]に対する抵抗10》《ぬめりけ》《粘着液》《光による盲目化》

<聞き耳+7><視認+11><忍び足+3><水泳+9><製作>または<知識(何か1つ) +4><捜索+8><脱出術+8>

《鋭敏感覚》《頑健無比》

出現環境:温暖/水界

宝物:標準

 

・電撃(超常):2体以上のクオトアのクレリック(“鞭令”と呼ばれる)は共同して1d4ラウンドに1回、電撃を生み出すことができる。電撃を放つためには、鞭令たちは手をつながなければならないが、電気を貯めている間は互いから30ft以内にいるだけでよい。この電撃は鞭令1人につき1d6ポイントのダメージを与えるが、反応SVに成功すれば半減させることができる(難易度13+鞭令の人数)

・ピンサー・スタッフ:クオトアのファイターの多くと、7LV以上の鞭令全員はこの大型サイズの特殊武器を身に帯びている。ピンサー・スタッフ(ハサミ杖)は1d10ポイントの殴打ダメージを与え、ダイスの目が20でクリティカル可能領域となり、クリティカル・ヒットでは2倍のダメージを与える。間合いは10ftで、隣接する敵に対しては使用できない。サイズが小型から大型までの敵に命中させたなら、使用者は機会攻撃を誘発することなく1回のフリー・アクションで組みつきを始めることができる。使用者が組みつき判定に成功したなら、相手を捕えている限り、ピンサー・スタッフは敵をつかみ、毎R1d10ポイントのダメージを与える。

《鋭敏視覚(変則)》:クオトアは独立して焦点を合わせることのできる2つの目のおかげで優れた視力を持つ。彼らの視覚は非常に優れているため、不可視状態やエーテル状態であっても、動く物体やクリーチャーを視認することができる。そうした物体やクリーチャーは完全に静止し続けている限り、発見されずに済ませることができる。

《水陸両生(変則)》:クオトアはエラで呼吸してはいるが、陸の上でも時間制限なしに生存することができる。

《ぬめりけ(変則)》:クオトアは全員、油膜を分泌しており、そのため、彼らに組みついたり、彼らを罠で捕えたりするのは難しい。ウェブの魔法や魔法のものでない蜘蛛の巣はクオトアに効果がなく、彼らはその他のほとんどどんな種類の拘束からも抜け出してしまう。

《粘着液》:クオトアは自分の身体から出る油とその他の材料を使って、シールドにハエ取り紙のような仕上げをする。このため、彼らのシールドに触れたクリーチャーやアイテムはぴったりとくっついてしまう。クオトアに対する近接攻撃に”失敗”したものは反応SV(難易度14)に成功しなければならず、失敗すると攻撃者の武器はシールドにくっついてしまい、手からもぎ取られる。肉体武器を使っているクリーチャーがくっついてしまった場合、自動的に組みつかれた状態となる。

1体のクオトアがそのシールドに粘着液を塗りつけるには1時間と20gp分の特別な材料がかかる。この粘着液は3日経つか、実際に誰か、もしくは何かをくっつけるまで働きを失わない(この場合はすでに粘着液を使ってしまっているので追加のアイテムを捕えることはできない)。シールドにくっついてしまった武器や体を引き剥がすには難易度20の【筋】判定に成功する必要がある。

《光による盲目化》:突然(太陽光やデイライト呪文などの)まぶしい光にさらされると、クオトアは1Rの間、盲目状態となる。以降のラウンド、クオトアはまぶしい光の下で活動する間、目がくらんだ状態となる。

第9話「From the Depth of Dark Water (仄暗い水の底から)」Vol.0【プロローグ】

■予告   

ゴールド・ドワーフの王国「コンゴウ」の扉が開かれた!パルムフェンス中に散り散りになっていたドワーフたちが、かつての隆盛を取り戻そうと、グローナ女王の下へと続々と参上している。

火口に潜んでいた邪悪なクリーチャーは滅ぼされたが、復興にはまだまだ多くの困難が残っていた。王国中がフィルスネイカーたちによって食い荒らされており、それ以外は流れ込んだマグマによって埋まっているか、瓦礫と化していた。崩れずに残ったわずかな区域も、有毒ガスが充満していたり、亡霊たちが歩き回っていたりと、今やドワーフたちの忍耐を試す修練場となっている。無人の王国に眠る宝を求めた盗人たちによって、価値ある物のほとんどが失われてしまったが、幸いなことに、それは埋没を免れた表層部だけであり、瓦礫の先には王国の宝が眠ったままでいる。献身的なドワーフたちの働きで、復興作業が進んでおり、少しずつ在りし日の華麗な面影を取り戻しつつある。かつて雷鳴山一帯を支配し、潤沢な山の恵みと、優れた工業技術でパルムフェンスに知られたコンゴウ国が蘇りつつあるのだ!

しかし……300年前にアンダーダークの水底へと追い払われたクオトアの大部族が、復讐の機会を得て侵攻してきた!!彼らは地下のダムを占拠し、コンゴウ国を水没させようと企んでいる。

このままでは、せっかく取り戻したコンゴウ国が奪われてしまう。再び救国の英雄たる冒険者たちの出番がやってきたのだ!!