パルムフェンス キャンペーン

D&D3.5 オリジナルキャンペーン資料

第8話「Thunder Delve Mountain Retry (雷鳴山再び)」Vol.2【コンゴウ国・王族区】

■前回までの冒険
 滅びたドワーフの王国「コンゴウ」を狙って、バラックたち山賊団とTRINITYが手を組んだ。雷鳴山のマグマの中では、フィルスネイカーの卵が孵化し続けており、噴火と共にパルムフェンスに大被害を与えようとしている。予断を許さない状況の中で、冒険者たちはコンゴウ国を探索する。
 コンゴウ国の希望である宝剣ムネチカを探し出し、グローナ姫を復活させ、閉ざされた扉の先へと進むために!
 
■参加キャラクター
(1) アノーリオン     :半エルフ、男、クレリック4(ラサンダー) / ファイター3
(2) ウズサロ       :半オーク、男、バーバリアン6 / フレンジード・バーサーカー1
(3) ”魔弾の” ザック    :ノーム、男、ウィザード7
(4) ナイロ        :エルフ、男、ローグ5 / レンジャー2

■冒険ログ
<崩落した兵舎>
f:id:dndviva:20200214063922j:plain
居住区を開放した冒険者たちは、大通路を南へ渡って未探索の区域へと進んだ。そこは破壊の跡がすさまじく、床のほとんどが崩落しており、崖のはるか下では時折マグマの赤いうねりが見えていた。流れ込んだ地下水が沸騰した蒸気が霧のように充満していた。
冒険者たちは、かろうじて崩落した先の通路へと渡った。そこは狭く逃げ場のない通路であり、扉の近くでドワーフの遺骸が積み重なるように倒れていた。彼らは死しても箱を守っていたようだ。
貴重な品物には、それを守るための罠もある。その中でも魔法の罠は、検知の魔法か凄腕の盗賊にしか見つけられない。ドワーフたちが守っていた箱には呪いの罠がかかっており、不幸にもナイロはそれを発見できなかった。ナイロの生気が奪われ、ひどい脱力感に襲われる事になった。[ビストゥ・カースの呪文により筋力低下]
彼らが守っていたのは、奪われる前に持ち出したわずかな財産と未完成の王冠だった。戴冠用の王冠は見事な金細工が施されているが、特徴的な六角形の台座は空洞のままだった。
彼らが逃げ出してきた扉の先は狭い部屋になっていたが、ここに逃げ込み、死ぬまで過ごしていたドワーフは収容数を軽く超えていた。別の扉は厳重にバリケードが築かれ、その先にいた者の侵入をひどく恐れていたようだった。冒険者たちは意を決してバリケードの先へと進んだ。
------------------------------------------------------------------------------------------
<崩れ落ちた空間 ~ムネチカ~>
バリケードの先にはいくつかの部屋があったようだが、壁も床もほとんどが崩れ落ちて崖になっており、一つの広い空間として繋がっていた。かつては武器庫や兵舎だったように思われる。何の幸運なのか、崩落を免れた床の一部が細い通路のようになっており、バランスをとりながら進めそうに見える。しかし部屋は蒸気によって白く煙っており、先の様子は分からない。
ふと、蒸気の先で何者かが動いたように見えた。目を凝らすとオークが狭い通路にいて、崖の先の何かを取ろうとしているようだった。霧の奥にも数体がいるようだった。彼らが求めているもの、それは見事な装飾がされた美しいカタナであった!!
バラックに従うスプリンタード・スカル族のディアー・ダックは、コンゴウ国を探索中に偶然、護国の宝剣ムネチカを発見したのだった。探索目的の一つである宝剣を奪い合う遭遇戦が始まった。
ディアー・ダックの仲間には、オークの神グルームシュに仕える邪神官ダウフルがおり、後衛のザックたちにも死の恐怖が迫る。前衛は今にも崩れそうな狭い通路に阻まれてうまく動けず、バランス取りに集中していると容赦なく矢弾が飛んでくる。状況に阻まれて後手に回ってしまった冒険者たちは、ここでも窮地に立たされてしまった。ザックの背中でそれを喜ぶレンダーの笑い声が響く。
またもザックのファイアー・ボールが状況を好転させ、冒険者たちは辛くも勝利を収めたものの、解決できない大きな課題に悩まされることになる。この残されたままの課題が、後に大きな不幸を生むことになる……。
冒険者たちは、邪悪な魔剣レンダーを深い谷の底に沈めると、代わりに目的の一つである護国の宝剣ムネチカを手に入れたのだった!!
------------------------------------------------------------------------------------------
<グローナ姫の復活>
ムネチカは知性ある剣であり、コンゴウ国を復興させる鍵となる強力なアーティファクトだ。戦いの助けとなる能力の他、崩壊した建物を元の姿に戻す魔法も備わっている。そしてコンゴウ国のためになる事だけに限られるものの、<ウィッシュ>の魔法が使えるのだ!!。
冒険者たちは再びパーキーベルの泉に戻り、グローナ姫の遺骸を運び出した。カシワイ谷のドワーフたちも呼び出され、彼らがムネチカに恭しく頭を下げると、ムネチカはふがいないドワーフ一族に不満を述べるも、これこそ最善策であることに納得し、グローナ姫の復活を容認した。
ついに奇跡の時が訪れる。人智を超えた奇跡の魔法により、血の気を失っていた姫の肌が桃色に、暁のような髪が波打つようにたなびき、胸を上下させて生命の鼓動を刻んだ。一瞬まぶたがピクリと動くと、ゆっくりと瞳が開かれ、黄金色の双瞳が明らかになった。冒険者たちは完全に消えていた希望の光を取り戻したのだ。
ドワーフたちは表しようもない感謝を示し、冒険者たちを英雄として称えた。復活したグローナ姫によって、いよいよコンゴウ国の秘密を探る深部への扉が開かれようとしていた。
 ------------------------------------------------------------------------------------------
<グレート・ホール>
f:id:dndviva:20200214221618j:plain
グローナ姫自らによって扉が開かれた。そこにはドワーフの栄光が隠されていた。”グレート・ホール”と呼ばれる巨大な空間は、巨人の腕でも届かないくらい太い幾本もの石柱で支えられ、松明の光すら届かない高さの天井には宝石が埋め込まれており、まるで満天の星空のように輝いていた。今では瓦礫と煤と骸骨だらけの大広間は「道場」とも呼ばれ、ある日には切磋琢磨するサムライたちで盛況を極めていたのだろう。
ひときわ目立つ装飾された中央の柱には、驚くほど巨大な未カットの宝石がはめ込まれ、虹色の光彩を放っていた。”継承者の石”だ!!失われたドワーフの英知の結晶とも伝えられる伝説的な宝石には、それを守るものもいるのだ。柱を支えるように掘り出されていた巨大なドワーフの英雄像が、埃をふるい落としながら動き出したのだ。かなわない相手と悟った冒険者は、動きの鈍いゴーレムの隙をついて別の扉へと進んだ。
 ------------------------------------------------------------------------------------------
<図書館>
冒険者たちが逃げ込んだ先は、一般的なドワーフの住居であった。そのどれもが破壊されており、いくつかの通路は瓦礫によって完全に塞がれていた。そこにはかろうじて残った蔵書室があり、念入りの捜索によってゴーレムの停止コマンドを発見した。
 ------------------------------------------------------------------------------------------
<継承者の石>
ゴーレムの脅威を取り除いた事によって、冒険者たちはコンゴウ国復興への希望の光を更に強固なものにした。継承者の石には、コンゴウ国に万が一が起こった時のためにあるものだ
試しに石に触れてみたザックは、拒否され弾き飛ばされてしまうが、刹那の間に栄光ある未来を見た。埃と煤だらけのコンゴウ国は補修され、磨かれ、金と銀の装飾がいくつもの松明や魔法の光によってまばゆく輝き、きれいな身なりのゴールド・ドワーフたちがそこかしこを笑顔で歩き回っていた。鍛錬に励むサムライたちがカタナを振るうたびに星粒のように光が煌いた。やがて黄金の髭のドワーフたちがうやうやしく畏まり、彼らが作る道を、王族の衣とマントをまとい、輝く王冠をいただいたグローナ姫が彼らの忠義に応えるようにゆっくりと歩いていく。その傍らにはサムライマスターとなったカグヤが王国の治安を守っている。
それは夢だった。継承者の石には莫大な魔法の力が宿っており、英知を授けると共にあるべき未来を垣間見せると言う。
冒険者たちは、本来の継承者であるグローナ姫を石に接触させた。グローナを受け入れた石は目を開けていられないほどの白光で広間を満たし、やがて元の暗い空間に戻った。石が真の継承者にどんなヴィジョンを見せたのかは分からないが、そこには全てを悟った王女がいた。
グローナに導かれるままに、次にカグヤも指先をそっと石に触れると穏やかなエネルギーが彼女の体を包んでいった。異国人の彼女はとうにコンゴウ国に身を捧げることを誓っていた。ここでサムライとしての修練を積み、奥義を極めようと覚悟していた。石は彼女の意志を汲み、穢れを祓ってライカンスローピィを治癒し、奥義の数々を授けたという。
王女として覚醒したグローナは、秘密の合言葉でゴーレムを崩すと、起動源となっていた力ある宝石を取り出した。雷鳴山の精髄と呼ばれ、シャルサイダーの力の根源ともいわれる”サンダー・ストーン”だ!グローナ姫は冒険者たちに石を渡すと、二つの新たなミッションを出した。
・シャルサイダーの開放
・王冠を完成させるための六角形の宝石の探索
 ------------------------------------------------------------------------------------------
<王族区>

f:id:dndviva:20200217154814j:plain

冒険者たちはグレート・ホールを出立し、南方の王族区へと向かった。ディアー・ダックたちもこのルートを通ったようで、彼らの簡易キャンプやゴーレムや床を食い破って現れたレッド・ワームに倒されたオークの死体などがあった。魔法の研究室では、秘密の扉を発見して薬品を手に入れた。

王族区もまた破壊の痕がすさまじく、ほとんどが崩れ、焼け焦げ、手入れのされていない年月に蝕まれていた。大きく裂けた床が地下のマグマ層まで達し、そこで冒険者たちは灼熱の溶岩の中を悠然と泳ぐ、超巨大な蛇のようなクリーチャーを見た。それこそ災いの元凶フィルスネイカだった!また探索の中で英雄たちの墳墓を発見したが、罠を恐れて装飾品を漁ることは諦めた。

コンゴウ国の中でも身分の高い者たちが住んでいた区域は、埃とクモの巣だらけになってはいたが、かつての隆盛がどれほどのものだったのかを容易に想像させる造りだった。ここにも逃げ遅れた多くのドワーフたちのミイラがあった。そこには先代の王”黒兜”ロギム・マーブルフィスト公の遺骸もあった。彼は絶望の日々の中で自らの傲慢がもたらした悲劇を嘆き、後悔を日記に残していた。

そして冒険者たちはついに王の私室に辿り着いた。魔法感知を持たぬ者にすら感じられるほどの薄気味悪い部屋でレイスと対峙した冒険者たちは、生気を奪う冷たい手をかわし、非実体の身体に魔法のダメージを与えていく。壁や床を通り抜けて進み、生命を吸い取る怨霊との戦闘は慎重にならざるを得なかった。レイスに殺された者もまたレイスになるからだ!有効打であるザックの魔弾が炸裂し、負のエネルギーの塊はついに霧散した。

天蓋付きの大きなベッドには、両手を合わせて静かに眠るマリーナ王妃のミイラがあった。王妃の手には特徴的な六角形のダイヤモンドが握られていた。未完成の王冠のパーツだ。冒険者たちはコンゴウ国に新たな女王を誕生させることにも成功したのだ。

f:id:dndviva:20200217164006j:plain

 ------------------------------------------------------------------------------------------
<滅亡の秘密>

彼らの英雄的な働きに応えるようにマリーナ王妃のゴーストが現れ、コンゴウ国が滅んだ秘密を明かしてくれた。驚くべきことにコンゴウ国の滅亡にはTRINITYが関わっていたと言うのだ!巨人戦争の頃にTRINITYの創設者であるネッド・ファブスターは、ドワーフたちに悪魔を使役するマジック・アイテム”サークレット・オブ・デヴィルズソーン”を作らせた。彼はその力で悪魔召喚士として活躍し、ヴェラダインを勝利へと導いた。巨人族の王を相打ちで倒した父のような英雄に憧れていたロギムは密かに悪魔のサークレットをもう一つ作らせた。しかしそれは彼の思うように作動せず、最愛の妻マリーナ王妃に悪魔が憑依するという悲劇をもたらす。ムネチカの反対を押し切って発動させたウィッシュによって王妃は救われたが、次なるフィルスネイカーの襲撃の際、魔力を失っていたムネチカの助力を得られず、王国は滅亡したというのだ。
  ------------------------------------------------------------------------------------------
<女王の誕生>

冒険者たちはついにグローナ姫を女王とする最後のパーツ、王冠を完成させた。それはコンゴウ国の復興を確実なものとするために絶対に必要なことであった。未完成の王冠はそのままでも値打ち物が、象徴的な宝石をいただくことで測れないほどの価値を生み出した。ドワーフたちの細工技術の高さが伺える。

生き残ったドワーフたちが諦めていた希望、100年間誰も見いだせなかった希望を次々と叶えていく冒険者たちは伝説的な英雄に並ぶほどだ。しかし彼らはまだ英雄その人ではない。コンゴウ国の最後の障害であるフィルスネイカー、そしてTRINITYとバラックたちを排斥せねばならない。英雄になるべく冒険者たちは秘密のの最深部・水晶の洞窟へと進んでいくのだった。