第4話「Thunder Delve Mountain(雷鳴山の秘宝)」
※本シナリオはDungeons&Dragons 市販シナリオを改編使用しています。
■冒険の概略
奇跡と脅威に満ちたドワーフのサムライ王国 -コンゴウ- は既にない。ただ輝かしい伝説だけが子供向けの童話として伝えられているだけである。パルム・フェンス地方の山々には、他の地域のどこにでもいるはずのドワーフの姿はない。衰退し、毎年その数を減らしているのだ。
最後のドワーフ王“国知らずの”ニムロンの頼みを受けたあなた達だけが、遥かな昔に閉ざされた扉を開くことができる。かつて栄光を誇った扉の向こうには、盗賊や追いはぎが巣くっている。ドワーフの国-コンゴウ-を滅ぼした邪悪なる存在が、再び目覚めようとしている。
失われた王国を取り戻しに行ったドワーフの王女グローナ・マーブルフィストも行方知れずであるという。唯一の跡継ぎである彼女が失われるということは、それ以上が失われるということだ。
雷鳴山の奥深くにある石の国は、サムライたちの修練の場でもあり、優れた採掘技術をもった鍛冶師たちの楽園でもあった。
マグマの川を越え、冷え切った溶鉱炉に火を灯し、絶滅寸前のドワーフ族を救えるのは、あなたたちだけだ。
そこに潜む邪悪を退けろ!!
■参加キャラクター
(1) アノーリオン :半エルフ、男、クレリック2(ラサンダー) / ファイター1
(2) ウズサロ :半オーク、男、バーバリアン3
(3) フィル・オニキス :エア・ジェナシ、女、スワッシュバックラー2
(4) スタック :ノーム、男、ソーサラー3
(5) ??? :人間、男、サムライ3
(6) ??? :ハーフリング、男、ローグ3
■冒険ログ
これまでの活躍によって、貿易都市ヴェラダインの評議員でありラサンダーの最高司祭でもあるシュウ・ラケニスの信頼を得た冒険者たち。ある日、ラサンダーの祭日を祝う宴に呼ばれたが、宴の途中で予期せぬ来訪者が現れる。
シュウの旧友であるゴールド・ドワーフの王「”国知らずの”ニムロン」だ。
パルムフェンス地方のゴールド・ドワーフ一族は非常に珍しい存在である。
100年ほど前の「巨人戦争」が終わった頃、最大勢力を持っていたドワーフ王国「コンゴウ」が、 地下から現れた巨大モンスター「フィルスネイカー」によって滅ぼされてしまったのだ。またコンゴウ国はサムライの修練の地でもある。
故郷を失って100年。ドワーフたちは散り散りになりながらも、何度も故郷を救う試みをしてきた。だが、いずれも失敗し、数を減らしたゴールド・ドワーフ族は、衰退し、今や絶滅の危機にあるのだ。
その最後の王が訪ねてきたのだ!!
王の話によると、王国を受け継ぐ若き王女「グローナ」が仲間とともに、一族としておそらく最後の挑戦に出た。しかし……遺跡には魔物以外に盗賊団が巣くっており、彼女らは囚われの身になってしまったらしい。
恥を忍んで救出を依頼してきたニムロンに、シュウは冒険者たちを紹介する。
およそ10日の道のりを踏破し、万年雪に覆われる雷鳴山の頂上、コンゴウ国の入口へ辿り着いた。
正面入り口に見張りらしき者を発見し、あらかじめニムロンから聞いていた裏口から侵入した冒険者たち。
裏口の先は盗賊団の首領らしき者の部屋だった。幸運なことに彼は不在であり、続いてゴブリン達のガヤガヤ声がする部屋へ……。
そこでは盗賊団に奴隷としてさらわれた少年「ティビー」が、ゴブリンにいじめられながら仕事をしていた。冒険者たちは少年を救出し、少年から知っている限りの情報を得た。
その後、盗賊団とオークたちが騒いでいる部屋へと入っていった冒険者たち。
ハーフオークのウズサロが仲間のふりをして油断させようとしたが、奴らは酔っていても仲間を見間違えることはなく、剣を抜いて襲ってきた。熾烈な戦闘の喧騒は別の部屋にも届き、大きな熊を連れたドルイドも戦列に加わった。かなり苦戦したものの、フレイミング・スフィアーの魔法を効果的に使い、何とか全滅させた。
ほとんどの魔力を使い切ってしまったが、前衛の力を信じて先に進んだ冒険者たちは、得ていた情報を頼りに、ドワーフが囚われていると言う牢へ向かった。
盗賊団の首領「”デス・アイ”バラック」のペットの狼を倒して、衰弱してたドワーフの女性を救うも、彼女はグローナ姫ではなく、姫とともに王国に挑戦したメンバーの1人「ナラ」であった。
ナラの話では、彼女の夫でありファイターの「ギャモン」はゴブリンの巣に連れて行かれ、王女は玉座の間に連れて行かれたと言う。ティビーにナラの世話をさせて安全を確保すると、冒険者たちは通路を進んだ。
しかしそこには巧妙に隠されたシューター式の落とし穴があり、ウズサロが地下水路に落ちて、どこかに流されてしまった!!残された仲間たちは、呼吸を必要とせず溺れることのないフィル、そして正義感あふれるアノーリオンが水路へ飛び込んでウズサロ救出に。残った3人は玉座の間へグローナ姫救出に向かった。
通路にあった秘密の扉を開け、本来なら王を守るために兵たちを忍ばせておく小部屋に入った。隙間から玉座の間を覗くと、グローナ姫が拷問されており、盗賊たちやオークの他、盗賊団の首領であるハーフオーク・”デス・アイ”バラックもいた。彼こそウズサロがその人物と間違われ、無実の罪で投獄された原因でもある。彼らは口々にグローナ姫をののしり、暴力を振るっていた。最も口悪いのは、バラックの持つグレートソードであった。インテリジェンス・ソードだ!!
彼らはグローナ姫から、王国内部へ進むための扉を開ける方法を聞きだそうと、尋問していたのだ。
盗賊団の予想外の戦力に、一旦その場を後にした冒険者たち。そして少しでも山賊団の戦力を削ごうと、ゴブリンの巣に突貫し、わずかな戦力ながらも、フルプレートを着たサムライがパーティーの盾となり、なんとかゴブリンたちを討伐して、ギャモンの救出に成功したのだった。
しかし冒険者たちはすでに疲労困憊。さらに助け出したドワーフのギャモンとナラは満身創痍で、ここから連れ出すのも困難な状態。また盗賊団が冒険者の侵入に気づいた時、グローナ姫の命が危ないかもしれない。一握の希望にかけて、ティビーがいた部屋で息を潜めたが……そこは逃げ場のない空間でもあった。
やがて彼らの潜む部屋の扉が開いた。仲間との合流を期待したが、現れたのは盗賊団だった。
仲間たちの死体を発見し、捕らえていたドワーフもいなくなっている事に気づいた盗賊たちは、侵入者を探し出そうと各部屋を捜索していたのだ!
絶望的な状況下で勇戦するも、続々と現れる盗賊団。そしてついにはバラックすらも現れ、彼らは凶刃に倒れた。。。
一方。
水路に流されたウズサロたちは、激流にもてあそばれながら、王国から離れたどこかの小川に排出されていた。離れ離れになった彼らはお互いの状況を知らないため、まずは冷え切った身体を暖めようと火を炊いて休んでいた。極寒の雷鳴山では凍傷の恐れがあるのだ。
十分な休息の後に、見知らぬ山林を歩いて、何とか再びコンゴウ国へたどり着くと、入り口の見張りはいなくなっていた。異変を察知したウズサロ、フィル、アノーリオンは、裏口から慎重に中に入ると……すでに盗賊たちは住処を引き払っていた。懸賞首でもあったバラックは、自分の居場所がバレて追っ手が来たことを察し、また決して口を割ろうとしないグローナの頑固さに諦めて、ここを去っていた。
全てを殺した上で……。
グローナ姫も、その仲間たちも、奴隷だったティビーも殺されていた。
彼らを襲う失意の中、コンゴウ国の神秘が語り出した。曰く、ゴールド・ドワーフ族最期の希望であるグローナ姫の遺体を、王国から離れた泉に沈めろ、と。
謎の話し声を不信に思ったが、腐敗を防ぐ手段にもなると納得し、いつしか復活の可能性にかけて、グローナ姫を泉の底に沈め、生き残った者たちは苦い経験を胸に、重い足を引きずって都へ帰っていったのであった。
ただ一つ。自分の命という宝物を持って。