パルムフェンス キャンペーン

D&D3.5 オリジナルキャンペーン資料

第3話「The door which was made by Spherepike(スフィアパイクの扉)」

※本シナリオはDungeons&Dragons 公式シナリオを改編使用しています。
こちらに公式リプレイも掲載されています。
■冒険の概略
港町ヴェラダインは、一年中温暖な海域にある海運都市である。100年ほど前の”巨人戦争”後に王族が途絶え、街は評議院たちによる自治で運営されている。地域の安全を守るのは、各自治体によるものか、寄付を前提とした神官戦士たち、および報酬で動く冒険者たちである。この地域では、活躍次第で大いなる可能性に溢れているのだ!
冒険者たちの噂を聞きつけた評議院の一人が、屋敷の改装のために、旧家から名工スフィアパイクの手による「扉」を回収してきてほしいと依頼する。しかし放棄された旧屋敷は、ライカンスロープを頭とする盗賊団のアジトになっており、地下にはかつての魔法実験の失敗で召喚されたモンスターが棲みついていた。
冒険者たちは、この危険な館から扉を回収できるだろうか?

 
■参加キャラクター
(1) アノーリオン     :半エルフ、男、クレリック2(ラサンダー) / ファイター1
(2) カグヤ・スノーホワイト:半エルフ、女、クレリック2(ミストラ) / サムライ1 
(3) ウズサロ       :半オーク、男、バーバリアン3
(4) フィル・オニキス   :エア・ジェナシ、女、スワッシュバックラー2
(5) スタック       :ノーム、男、ソーサラー3
(NPC)"駆け足"ギャレット :ハーフリング、男、ローグ3
 
 ■冒険ログ

村の危機を救い、ゴブリンを一掃し、暗躍していたブラック・ドラゴンをも倒したことで、依頼主であるヴェラダイン評議員「シュウ・ラケニス」から厚い信頼を得た冒険者たち。それからおよそ10日後……。
冒険者たちの滞在する「海神の角笛亭」に、評議員であり有力商人でもあるファブスター卿の使いが現れる。ファブスター卿とシュウは大変仲がよく、シュウ評議員から冒険者たちのことを聞き、卿の抱える問題を解決するに値する者たちと判断したのだ。
現当主である「フェルディナン・ファブスター」の話によると、卿は屋敷の改修をしており、見事な調度品や家具を集めたが、気に入る扉が見つからない。文献を調べていると、曽祖父の代まで暮らしていた旧家には、名工・スフィアパイクの手による見事な扉があるという。しかし旧家周辺は、盗賊の被害が頻繁に起こる地であるため、冒険者による扉の回収を考えたのだという。

f:id:dndviva:20190213182958j:plain [フェルディナン・ファブスター]

高額な報酬に快く依頼を受けた冒険者たちは、ヴェラダインから三日ほどのサクストン村へと向かう。その郊外に旧ファブスター邸があるのだ。道中ですれ違う旅人から情報収集すると、盗賊団は「ワー・ウルフ」に率いられていることが分かった。しかしワー・ウルフが通常の武器が聞きにくい相手であることは分かったものの、「ライカンスロピー」と言う感染症を持っていることまでは分からなかった。
サクストン村はすっかり寂れており、しかも冒険者たちが到着する数日前に盗賊団に襲われていた。金品を奪われたばかりか、村娘の一人がさらわれてしまったらしい。幸いにも通りがかりの旅人(バーバリアン)たちが村娘の救出を引き受けてくれ、すでに向かっている。その盗賊団のアジトこそが旧ファブスター邸なのだ!

 

旧ファブスター邸で、先に到着していた蛮族たちと出会った冒険者たちは、財宝のほとんどを渡す代わりに、共に人質を救出する約束をした。強力な味方を得た冒険者たちは、盗賊団を蹴散らして見事に人質を救出すし、囚われていた村娘は蛮族たちと一足先に村へと帰っていった。

冒険者たちの真の目的は、あくまで「スフィアパイク製の扉」の回収。勇んで奥へ進むと、毛皮を敷いた奥の間に、ペットの狼を連れた男が待ち構えていた。盗賊団の首領だ!

f:id:dndviva:20190214183540j:plain

宝を奪った不埒な侵入者たちに、首領が怒りの咆哮をあげると……黒光りする体毛が全身を覆い、骨格が捻じ曲がり、口は耳まで裂け、尖った牙が並ぶ。ワー・ウルフだ!!通常武器への耐性を持つクリーチャーにファイター達は苦戦するも、彼らが魔獣の牙を防いでいる間、スタックのマジック・ミサイルが何本も刺さっていく。ワー・ウルフは渾身の力でカグヤに重症を負わせたが、やがて息絶えた。

人質を救い、盗賊団を倒したが、カグヤは傷口に違和感を覚えていた。ライカンスピーに感染していたのだ!三日以内に高LVクレリックの治療を受けなければ、狂気のままに人々を襲うモンスターと化してしまう。仲間の制止を押し切って、単身ヴェラダインへ帰ることにしたカグヤ。異国人である彼女が、荒野を単身で進むのは危険が多い。その後、彼女の姿を見たものはいない……。

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一度サクストン村へと帰り、カグヤを見送った冒険者たちは、十分な休養の後で再度ファブスター家跡へ向かい、やっと扉の回収を始められた。もはや無人のはずの屋敷だったが、外出していた生き残りの盗賊たちが帰ってきており、しかも何者かと戦闘していた。盗賊団と不可侵で共存していたアレイニアだ。知識欲に溢れているアレイニアは、旧ファブスター邸の図書室に棲みついていたのだ。盗賊団の壊滅を知った生き残りたちは、ここを去る手土産として彼女の財宝を狙ったのだった。多勢に無勢の状況から、モンスターに味方した冒険者たちは盗賊を倒し、アレイニアの「クロジンデ」と一時的な友好関係を築いた。

f:id:dndviva:20190215060929j:plain[アレイニア]

彼女によれば、かつてファブスターの領主は優れた魔法使いであり、100年ほど前の”巨人戦争”の戦力とするため、デビルの召喚を試みた。しかし魔法は失敗し、暴走したデビルによって屋敷は半壊。デビルはいずこかへと飛び去ったが、デビルによって異界から呼び出されたモンスターが未だに潜伏しているらしい。

慎重に屋敷を捜索し、少しずつ扉を回収していく冒険者たち。「ガーゴイル」の襲撃をかわし、隠し部屋の財宝を手に入れ、地下への入り口を塞いでいた大扉を発見するが、大きすぎて部屋から出せない。仕方なく地下を通っていくことに……。

天然洞窟は外へと通じているようだったが、壁のあちこちに太い爪で引っかいたような跡があり、スス焦げた跡もあった。そこにはひんやりとした暗がりで赤い双眸が光っており、地獄の響きのような唸りをあげた、漆黒そのものが邪悪な形を取ったかのような獣「ヘルハウンド」が二体も待ち構えていた!!

ゲヘナの炎を吐き、赤熱した牙を突き立てる凶暴なモンスターだったが、ウズサロの重戦斧とスタックの回避不能なマジック・ミサイルによって、地獄の獣は地に落ちた。

 

冒険者たちは扉のほとんどを傷つけることなく回収し、もう一人の評議員からの信頼を得ることに成功する。高額な報酬と、屋敷で手に入れた魔法の武器を手にした。

この小さな活躍が、やがて彼らをヴェラダインの陰謀に巻き込み、パルムフェンス史に刻まれる大きな事件の中心とするとは、この時まだ誰も知らなかった……。

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