パルムフェンス キャンペーン

D&D3.5 オリジナルキャンペーン資料

第5話「The Madness Submarine Cave (狂気の洞窟)」

※本シナリオはDungeons&Dragons 市販シナリオを改編使用しています。

■冒険の導入
――-港湾都市ヴェラダイン。
大陸海運路の要所にあるため、常に他国の支配者たちの関心を集めている。王家が途絶え、一見丸腰のようであるが、有力商人と各神殿の司祭による評議員が中心となり、防御に優れた地形と人々の知恵で自治を守ってきた。ヴェラダインの港湾部は眠らない。
常に外国から大小さまざまなものが荷下ろしされ、目利きの商人たちによって取引され、また別の場所へと運ばれていく。
港湾部の住人たちは、はるか異国から英雄的な海の旅をしてきた船乗りたちの厚い懐を狙って、昼となく夜となく彼らを楽しませている。
しかし悪はどこにでも潜んでいるのだ!!
半月ほど前、頻繁な海賊行為によって大打撃を受けていた海運ギルドが、ついに大がかりな海賊退治を敢行した。戦神テンパスも合意し、彼の忠実なクレリックたちが重装な軍艦を提供し、珍しいことにミストラ神殿も加わった。つけあがった海賊たちがミストラ神の護る秘密の魔法に目を付けたからだ。
「モンテクオン海戦」と呼ばれる、誰もがヴェラダイン軍の圧勝を疑わず、その結果にならなかった戦いである。
 f:id:dndviva:20190308050600j:plain
海賊たちは暗黒の月の女神シャアの加護を受けており、狂信で結ばれたゴロツキどもは、恐るべき相手となった。また彼女は、彼らに邪悪な海獣を授けてもいたのだ!矢玉に加えて、双方の魔法が海をうねらせ、捻じ曲げられた魔法の織が潮流をも変えてしまった。 
死闘の果てに辛勝を勝ち取るも、生き残った者の心は犠牲者と共に深海に飲み込まれていた。
 
シャアのあざとい思惑は、果たして頓挫したのだろうか?
否!!
人智の及ばぬ偉大な神の永遠の計画は、敗戦に見せかけた次の勝利への布石なのだ。

■参加キャラクター
(1) アノーリオン     :半エルフ、男、クレリック2(ラサンダー) / ファイター2
(2) ウズサロ       :半オーク、男、バーバリアン4
(3) フィル・オニキス   :エア・ジェナシ、女、スワッシュバックラー3
(4) ザック        :ノーム、男、ウィザード4
(5) ナイロ        :エルフ、男、ローグ4
(6) ミセル・スカーレット :半エルフ、女、バード4
 
 ■冒険ログ
ヴェラダインの代表産業の一つに真珠の養殖がある。その養殖場に「水棲グール(ラケドン)」が出現したことを受けて、漁業ギルドは冒険者を探している。
ラケドンが発見されたのは二日前。そして昨日、他の冒険者グループが捜索した結果、グールが出入りしている洞窟を発見した。そこは最近の潮流の変化で、大潮の時だけ姿を見せる海底洞窟だった。大潮の時は水中で不利な戦いを強いられない為、この短い期間が洞窟の調査とグール討伐のチャンスである。
しかも、この一帯は冒険心をくすぐる様々な噂があるものの、真珠の養殖場の他、貴族の住宅地にも近く、めったに立ち入りできない場所であり、この地を捜索できる絶好の機会でもある。

養殖場は漁師ギルドの管理地であり、冒険者たちが懇意にしているフェルディナンが理事をしている。またラケドンが目撃された海底洞窟は、ファブスター家にも近い位置にある。残念ながらフェルディナン氏は留守で詳しい話は聞けなかった。
ドワーフの王国で命を落とした仲間の代わりに、魔術師ギルドの優秀な学生であるザック、冒険心に溢れる盗賊ナイロ、そして英雄譚を求めるバードのミセルが加わり、冒険者たちは入念な準備をしつつ、干潮を待って海底洞窟へ向かった。

再び潮が満ちるまでおよそ二時間。この時間を過ぎると入り口が海底に沈み、冒険者たちは戻れなくなってしまう。彼らは潮臭い洞窟のつるつるした坂道を登っていると、侵入に気づいたラケドンの襲撃に会う。しかもこの水棲グールは、通常の個体と違って何者かの手による魔法的な強化がされていた。何とか坂を登ったウズサロも、スティンキング・クラウドコーズ・フィアーで無力化されてしまい、召喚されたヘルハウンドの炎のブレスを食らってしまう。仲間たちが滑る坂に悪戦苦闘している間に、ザックが魔法でラケドンを倒してしまった。

海運ギルドの依頼を達成した冒険者だが、満潮まで時間があり、またグールが現れた謎を探るべく、海底洞窟の深部へと進む。
普段、海水に沈んでいるこの洞窟の奥には、不気味な文様が描かれたクリスタル製の扉があった。それは地下へと続いており、普段は海水の浸入を防いでいるものであった。それは明らかに人の手によって設置されたものであり、それはグールが偶発的な発生ではなく、何者かの意図によることを示していた。

扉の先へ進むと、異世界から到来した捕食者「グレル」が襲ってきた。しかもフィーンディッシュ種だ!つまりこのクリーチャーは、異世界の中でも最も厄介な「地獄界」よりの来訪者なのだ。”触手の生えた宙に浮かぶ脳”といった外見の不気味なクリーチャーに翻弄されるが、数の差でこの危機を乗り越えた。

迫る時間を気にしながらも慎重に歩を進めると、ファブスター家の紋章の入った扉を見つける。確かに洞窟の位置はファブスター家に近いところにあるが……。
この謎を解こうと奥に進むと、大きな蜘蛛の巣に引っかかってしまう。絡みつく糸から逃れていると、振動を察知した巨大な毒蜘蛛が冒険者たちを腹に収めようと天井を這って襲ってきた。しかもそいつらは別のクリーチャーのペットに過ぎなかった。主人であるエターキャップもまた腹をすかせており、新鮮な肉を食らおうと牙をむき出している。
部屋の入り口での攻防が続き、矢面に立っていたウズサロが集中攻撃を受けて瀕死に!しかも遠隔武器を持っていない冒険者たちは、天井や壁をつたう蜘蛛たちに手が出せない。決して強くないモンスターだが、地の利を得た相手に思いのほか苦戦してしまう。
何とか辛勝した冒険者だったが、すでにリソースのほとんどを失い、これ以上の探索は不可能になってしまった。

f:id:dndviva:20190312195503j:plain

抑えきれぬ好奇心に突き動かされたナイロが、単身で偵察に向かうと、最深部ではローブを目深にかぶった謎の人影が、護摩を炊き、地面に描かれた不気味な魔法円に向かって詠唱している。この邪悪な儀式に大きな危険を感じたが、今の冒険者たちではかなうはずもなかった。


そこで彼らが取った手段とは、立ち去り際に海水の浸入を防いでいたクリスタル製の扉を撤去することだった!!

満ちてくる潮はやがて海底の洞窟に流れ込み、全てを飲み込んでいく。
大いなる謎とともに。

f:id:dndviva:20190312195437j:plain