パルムフェンス キャンペーン

D&D3.5 オリジナルキャンペーン資料

第6話プロローグ「The Designs for Devil (悪魔の企み)」

――― アノーリオン。
君はパルムフェンスの地方にある小さな片田舎で育った。
ハーフエルフという奇異の目にさらされながらも心根を曲げずに済んだのは、信仰という鋼鉄の背骨を持っていたからだろうか?
君の故郷は小さな農村で、ラサンダーに仕える牧師は君にも平等に接してくれた。ラサンダーの陽光は、その恩人を通して君に注がれたのだろう。正直者の君を村人たちが認めるのに、そう時間はかからなかった。のどかで平和な生活の中で、アノーリオンは多くのものを自身の中に入れていった。
だが、自身と共に心の器も大きくなるにつれ、村を出て行く若者たちと同じ火が心に灯るのを感じた。より大きな存在になりたい。この村のような平和をもっと遠くまで広げたい。
大きな世界が君を待っていた。

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君は今、夜明け前の薄暗い大草原にいる。
青紫色の空には、無数の星がオーロラ越しに輝いており、瑞々しい草花が足元で茂っている。君がゆっくりと足を進めると、草原の所々から虹色の光がやわらかい鐘の音とともに弾けては消える。
君の歩の奏でる音に誘われ、金色の鹿や淡い光を放つ馬、朱色の尾をもつ鳥がこの祝福をともに喜んでいる。
奏はやがて荘厳なファンファーレを迎え、夜空は青紫からだんだんと朱を帯びていく。

夜明けだ!

爛々と燃え盛る力強い太陽が、影のない世界を作っていく。心に留めておけぬほどの圧倒的な幸福が満ち、溢れ、全てを浸していく。希望と浄化の炎が君の一切の迷いを晴らした。
この誉れの世界こそ、ラサンダーと信徒が夢見る理想郷である。君は今、暁の太陽神ラサンダーの御前にあるのだ!!

今や君の目の前にある太陽は、悪への激しい闘志と彼の信徒への福音に満ちている。
The Morning Lord(※ラサンダーの別名)が若々しくも断固たる意思を直接君に送りつけてきたのだ。

f:id:dndviva:20190322221024p:plain[ラサンダーの紋章]

邪悪な手が夜の闇のうちにヴェラダインの底に広がり、今にも下から人々を引きずり下ろそうとしている。
警告を発するかのように、人智を超えた力が現在・過去・未来のヴィジョンをスライドショーのように見せていく。
火の手が上がるパルムフェンスの村々。火の中を闊歩する巨人たち。その足元で絶望する人々。絶望。苦痛。散らばる死体。苦悩する魔術師。忌々しい儀式。恐怖と期待。負のエネルギーの奔流。港湾都市ヴェラダイン。白熱する議論。困窮し、憤る民たち。ほくそ笑むローブを着た人物たち。犠牲者。生贄。双子の赤ん坊。一人は赤い肌に角。もう一人は白肌の人間。雨。葬儀。港で働く人々……。

100年の旅から帰ると、眼前の太陽がより一層輝く。やがて圧縮された太陽光線が君の身体に向かって放射された。ラサンダーの燃える指が君の身体をなぞっている。神の圧倒的な力が君の身体に注ぎ込まれているのだ!!

君は脂汗とともに目を覚ます。
先ほどの夢の意味を確かめると、君の身体にはラサンダーによって刻まれた証がハッキリと刻まれていた。

君は聖痕の戦士となったのだ!!